【HUNTER×HUNTER】願わくば、無窮の幸福を。

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「うわすげー！」
「宝石みたいだねー」
『ねー！久々に見たよ、こんな景色』

探索にも飽きて、窓際の休憩スペースで夜景を眺めながら飴玉を転がしていた頃、ふとゴンがねえと告げる。

「キルアとAの父さんと母さんは？」
「んー？生きてるよ、多分」
『meのはわかんない』
「二人とも曖昧だなー」

端的にそう答えれば、ゴンは不満そうに口を尖らす。その頬を両手で挟み込む様にすれば、今度は不服そうな顔をした。

「何してる人なの？」
「殺人鬼」
「両方とも？」

そんな呑気なゴンの問いに、思わずキルアと一緒に吹き出してしまう。そんな私達の様子にゴンはきょとんとした顔で困惑していた。

「マジ面で聞き返してきたのお前が初めてだぜ」
「だって本当なんでしょ？」

暫く聞いていれば、どうやらキルアの家は暗殺稼業らしい。何処の家かまでは聞かなかったが、その中々にも凄惨な話を聞く限りキルアも中々苦労しているようだった。

「Aは両親にもう会ってないの？」
『うん、会ったことないかなあ。でも家族は居るよ！』
「そっかあ、会ってみたいな〜Aの家族」
『いいよ！いつかね』

ふと今度は話の矛先が此方へ向いてくる。わからない、と答えたせいかゴンは薄々状況に勘付いており、少し気を遣った様子で笑い掛けてきた。

いつか、初めて出来た友達、なんて紹介して皆でわいわいと話が出来たならとても楽しそうだ。まあ中々時間も合わないだろうし、私達は事あるごとに賞金をかけられるのだから難しい事は承知しているが。

刹那、自身の数m後ろから気配を感じれば、殺気にも似た威圧感に襲われる。すぐ様振り返るも、其処には既に誰も居らずキルアとゴンと警戒した表情で顔を見合わす。そして次は後ろから前へ移動した誰かの気配に再度身を向き直した。

「どうかしたかの？」
「あれ？ネテロさんこっちの方から誰か近づいて来なかった？」
「いーや」

素直にも首を傾げるゴンに、ネテロは惚けてみせる。流石はハンター協会会長だ。気配は追えはしたものの、最初近付かれるまでは明確に気配を察知出来なかった。

「素早いね、歳の割に」
『意地悪されちゃった』
「今のが？ちょこっと歩いただけじゃよ」

煽りにも似たネテロの返答に、ぴし、と空気が凍る様な感覚を覚える。どうやら完全にキルアの癇に障った様だった。私も舌を出しては反論の意を唱えて見せた。

イラスト→←_23

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