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294番のハゲがやらかし、アレも駄目コレも駄目で見事に跳ね除けられ続け、飽きてしゃがみ込んではひたすら飴を舌で転がしていた時だった。
「ワリ!お腹いっぱいになっちまった」
机上に湯呑みを置いて、緑髪の試験官は開き直った様な笑みでそう告げたのだ。周りがどよめく中、女は携帯電話を片手に誰かと口論を繰り広げている。
暫くすると、少し苛立った様な仕草で此方へ視線を戻した女は、大声で合格者は0だと告げた。その言葉に周りの受験者はざわつき始める。
『どうしようね?』
ちらりと後方に立つヒソカへと視線を送れば、お手上げだとでも言うような表情と共に掌を上へと返して肩を竦めて見せた。
「え〜あんなのわかんないよ!」
『困るよね!meは良くないと思う!』
ひそひそと不満そうにゴン達と愚痴り合っていると、突如として前の方で爆音とまではいかないが、何かが破壊された様な音が響き渡り、反射的にそちらへと目を凝らす。
「納得いかねぇな!」
怒気を孕んだ声音と表情で、髪を後ろに束ねた恰幅の良い男は、試験官をギロリと睨んで言葉を続ける。
それと同時に、後ろの彼奴からじわりと滲み出た殺気が纏わり付くの肌で感じた。私はそれに倣っては両耳を塞いで男に向かって舌を出してやった。残念ながら男の視界には入っていない様だが。もう一度舌を出せば、側に居たクラピカが首を横に振りながら宥める様に肩に手を置いてきた。
一通り男は騒ぎ立て、試験官の女はそれに対して煽るような口振りで言葉を返す。その言葉は見事に男の神経を逆撫でた様で、顔を真っ赤にしながら暴力に走ろうと女の元へと駆け出すが、虚しくも女の後ろに立つ大男に張り飛ばされてしまった。
『わー!ホームランだ!!』
「馬鹿、声がでかい!」
『あ…綺麗に飛んでったから、つい…』
正しく綺麗に吹っ飛ばされた男は、ピクピクと身体を痙攣させながら昏倒していた。対する緑髪の試験官は、のされた受験者に怒りを顕にしながら悪態をついている。
「それにしても合格者0はちとキビシすごやせんか?」
上空でエンジン音が聞こえれば、機械を通した様な老人の声が聞こえる。思わず上を見上げれば、何処かで見たマークが大きく印された飛行船が上空を飛んでいた。
「ハンター協会のマーク!審査委員会か!」
誰かがそう大声を上げると同時に、その飛行船から人影が飛び降りる姿が薄らと見えた。下駄と地面がぶつかる着地音が鳴り響けば、老人は悠々と緑髪の審査員の元へと足を向けた。
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あるぱか(プロフ) - mikanさん» mikan様。コメント共にご指摘ありがとうございます。修正いたしますので、暫くお待ちくださいませ。 (2022年11月22日 2時) (レス) id: 815005bab2 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - コメント失礼します。試験官がずっと試験管で気になってしまいます。余裕があれば直していただきたい (2022年11月22日 1時) (レス) @page11 id: 482089f0ab (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - みこさん» みこ様。コメント共にありがたいお言葉ありがとうございますm(_ _)m お陰様で大変励みになります。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。 (2022年5月18日 8時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!とても面白かったです!次の更新を楽しみにしています!!(*´˘`*)頑張ってください!!応援してますっ (2022年5月18日 8時) (レス) @page31 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - オレンジさん» オレンジ様。コメント有難う御座います!イラストは頑張って仕上げた方なので大変嬉しい限りです…;; お言葉誠に有難う御座います。更新の方もゆっくりになりますが、暫しお待ち頂ければ幸いです。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます…! (2018年3月10日 20時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるぱか | 作成日時:2017年12月31日 17時