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二次試験会場に辿り着き、他の受験者の群れを掻き分けレオリオの姿を探す。
きょろきょろと辺りを見渡していると、不意にヒソカの殺気を捉え、後ろを振り向いた。
『ヒソカだね』
「うん…」
未だ、警戒を怠らないゴンとクラピカを引き連れ、そちらの方へ歩み寄る。
ヒソカは笑みを浮かべながら、此方に手を振ってきた。そして左の方を指差したのを確認し、軌道を左に変えると、木の根本に腰を下ろすレオリオを発見した。
「レオリオ!」
「うむ。腕の傷以外は無事の様だな」
きっぱりと真剣な表情でそう告げたクラピカに、思わず笑いが込み上げる。
口を抑え、くすくすと笑っていると、またしてもレオリオにデコピンを食らう。
『う、うぅん…』
生身の状態で受けた為、若干ひりひりとする額を撫でる。これが旅団メンバーだったなら、きっと頭が吹っ飛んでいただろう。
「ところで、何で皆建物の外に居るのかな」
「中に入れないんだよ」
そんなゴンの疑問に、颯爽と答えてみせたのは、聞き慣れて親しみの感じる声だった。
すぐさまそちらへ目線を移すと、その人物と目が合い、にこりと微笑まれる。
「キルア!」
「どんなマジック使ったんだ?絶対もう戻って来れないと思ったぜ」
『ゴンがね、レオリオの香水の匂いを辿ったの』
簡潔にそう説明してみれば、キルアは目を見開き驚愕の表情を浮かべる。そしてそれを大声で反芻すると、ゴンはそれに頷いた。
やっぱ相当変わってるな、としみじみと呟いたキルアに、何度も頷きながら同意するが、当のゴンは首を傾げてきょとんとしていた。
「それで、何で中に入れないの?」
そう言えば、と言う様な声音でゴンがそう問うと、キルアはこっち、と建物の方を指差す。
建物の扉は固く閉ざされており、上の看板には"本日正午 二次試験スタート"と記されていた。
その扉の奥からは、先程から変わらず変な唸り声が響き渡っていた。
『もうすぐだね』
時計の長針が頂点へと差し掛かり、受験者の周りの空気に緊張が漂い始める。
一つ欠伸をしたキルアと、真っ直ぐとした眼差しで扉を見つめるゴンを横目に、身体を伸ばす。
「おっ?」
『うん…?』
秒針がこく一刻と時を刻み、ぴたり、と長身と短針が重なり合った。
そして閉ざされていたその扉が、ゆっくりと開いていった。
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あるぱか(プロフ) - mikanさん» mikan様。コメント共にご指摘ありがとうございます。修正いたしますので、暫くお待ちくださいませ。 (2022年11月22日 2時) (レス) id: 815005bab2 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - コメント失礼します。試験官がずっと試験管で気になってしまいます。余裕があれば直していただきたい (2022年11月22日 1時) (レス) @page11 id: 482089f0ab (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - みこさん» みこ様。コメント共にありがたいお言葉ありがとうございますm(_ _)m お陰様で大変励みになります。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。 (2022年5月18日 8時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!とても面白かったです!次の更新を楽しみにしています!!(*´˘`*)頑張ってください!!応援してますっ (2022年5月18日 8時) (レス) @page31 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
あるぱか(プロフ) - オレンジさん» オレンジ様。コメント有難う御座います!イラストは頑張って仕上げた方なので大変嬉しい限りです…;; お言葉誠に有難う御座います。更新の方もゆっくりになりますが、暫しお待ち頂ければ幸いです。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます…! (2018年3月10日 20時) (レス) id: fbddfe63cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるぱか | 作成日時:2017年12月31日 17時