.*Fragile.*【sho.hirano】

消えたいキモチ ページ21

遠くからそっと、撮影現場の様子を

見ていたはずなのに........





紫耀がふと顔を上げたときに、

あたしの視線と、彼の視線が重なった......







紫耀は、驚いたようにこっちを見ている。







だけどあたしは、彼の視線からすぐに目をそらし、

祐也に断って、その場から立ち去ってしまった。







すぐに後を追いかけてきたのは、祐也....。









祐也「..................A！

.......お前もう......先、会社戻れ」






そう言って、あたしのバッグと上着を

無理やり手渡す。






A「なんで.......そんなのできなっ.........」






祐也「いいからっ！今日は軽いインタビュー

だけだし、俺１人でもできるから.........な？


だから................そんな顔で仕事すんな」








祐也の大きな手が、あたしの頭を優しく撫でる。





あたし、そんなに顔に出てた......？









A「うん.......ごめん」




心の中を、祐也に見透かされているようだった。






この場に居づらかったのは事実だし.......




紫耀の前でいつも通り仕事ができる

精神状態でもなかった........






あたしは祐也の優しさに甘えて、

逃げるように会社へと戻ってしまったんだ。








だから、知らなかった.........。



あたし達が話をしていたその後ろで、

紫耀があたしを追いかけてきてくれてたことを。





あたしは全く、気付きもしなかった........









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残業を終え、自分のアパートへと帰宅すると。




自宅の前には、

先に会社を出たはずの祐也が立っていた。








A「なんで.......？」






祐也「今日、様子おかしかったから.......」






A「........そんなこと.....ないよ」







この期に及んで、まだ隠そうとする自分。


祐也が気づいてることは、分かってる。





だからこそ、


彼の前で、弱い自分を見せる訳にはいけない。






祐也の優しさに甘えるのは、ズルい。








A「今日は、迷惑かけてごめん。

次からは.....ちゃんとするから.......」







業務的にしか、彼に接することができない。







A「疲れてるから......今日は帰るね」









そう言って、マンションへと入ろうとしたあたしを


祐也は引き止め、強く抱きしめた。

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