.*Fragile.*【sho.hirano】

疑い ページ20

円香「おとといの夜はごめんね。

せっかくの休みだったのに、

名古屋まで付き合わせちゃって..........」





紫耀「いいよ別に......

俺もこの機会に、一緒に帰れて良かったし」







何それ...........




紫耀が帰ってこなかったあの夜。

１日休みだった次の日。




紫耀は、倉橋さんと........一緒にいたの？








自分の中に流れ込んでくる、



ドロドロした黒い感情。









円香「紫耀くんが一緒にいてくれて

本当に良かった..........」







紫耀「俺の前では無理して笑わなくていいから.....

つらかったら少し休めよ....」








他の女の子へと向けられる優しい言葉。





この優しさは、あたしだけの特別.......




そんな風に思ってた自分が..........恥ずかしい。









この場所から消え去りたくて.......


今は紫耀と顔を合わせたくなくて......


あたしはすぐに、その場を立ち去った。









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祐也「A！どこ行ってたんだよ。

もうすぐ撮影.......」



A「うん、ごめん」






祐也の話を遮るように、あたしは返事をした。




完全に、八つ当たりだ。




心の奥の、ドロドロした感情が、

あたしの理性を崩壊させる。





だけど、そうでもしないと.......

気を許せばすぐにでも涙が出てきそうで.........






あたしはもう、限界だったんだ.......









祐也もあたしの異変に、

気づいているようだったけれど、

それ以上何も聞いてこなかった。









スタッフ「平野さん、倉橋さん入りまーす」






大きなかけ声と共に、出演者の２人が

撮影現場へと現れる。






撮影前に、お互いの衣装をチェックし合って、

終始、仲良さげな２人......








その２人の様子を見ていると、

心がズキズキと痛んで.......


苦しいくらいに、切なくなる。









スタッフ「.........ほんとお似合いだよなぁ

あの２人........」





あたし達の隣で、

スタッフが密かに話をしていた。






本当に、その通り........




あたしなんかより、何倍も、何百倍も、

倉橋さんの方が................紫耀の隣にはお似合いだ。







自分が惨めで.......消えてしまいたくて......

苦しくて、つらくて、切なくて、

イライラして、泣きたくて............




こんなにもドロドロした感情を、

あたしは初めて知ったんだ。

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