.*Fragile.*【sho.hirano】

見えない気持ち-sho.h- ページ17

A「何か飲み物入れるね」





そう言って、いつもと変わらない様子で

キッチンへと向かうA。







その変わらない態度に......





一瞬吹き飛んだはずのモヤモヤが、

再び自分を襲う。








Aは..............俺がいなくても平気だった......?




全然..........寂しくなかった？








ソファーに座り、１人考え込みながら

その後ろ姿を眺めていると、







A「はい、ミルクティー」






そう言って、俺の横にやってきて

マグカップを手渡してくれる彼女。









いつもなら..........

すぐに抱きついて、キスをして.........

たわいもない話で笑ってられるのに........









今日はなんでか.......いつもみたいにできなくて、


２人の間には静かな沈黙が流れてた。









そんな時...........




机の上に置いてあった俺の携帯から、

大きな着信音が鳴り響く。








着信相手は.............共演者の"倉橋円香"









A「電話、鳴ってるよ？」






なんで円香から？こんなタイミングで？






そう思いながらも、

出ないのも逆に不自然に感じて.......







紫耀「ごめん....話してくる」



通話ボタンを押して、寝室へと向かった。









紫耀「..............はい」





出たはいいものの、無言の彼女。






紫耀「.........何？何もないなら.......」




そう言いかけたところで、






円香「待って........助けて...........っ」






泣いているような、

小さなかすれ声が、電話越しに聞こえてくる。







円香「紫耀くんにしか頼れないのっ......

おねがい..........」









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数分で電話を終えると、

俺はリビングへと向かい、車の鍵を手に取った。








A「..........出かけるの？こんな時間に？」






不思議そうにこっちを見つめている彼女。








紫耀「うん、ちょっと用事。

遅くなるかもしれないから、先寝てて.......」









少しは不安になった？



「行かないで」って..........思ってくれてる？









試すように、ゆっくりと靴を履いてみたけれど、


Aは今日も、聞き分けよく、俺を送り出す。






A「.......うん.......気をつけてね」






その笑顔が、今日はツライ。




紫耀「行ってくる」





彼女の顔を見ることなく、俺はそのまま部屋を出た。

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