.*Kiss me.*【sho.hirano】

風邪-sho.h- ページ42

Aは、心配性だ。




一年半前、ちょっとの風邪でも

たくさんの薬を買ってきて、

毎日、苦い栄養ドリンクを飲まされた。






今回の風邪はその時よりもひどいって、

自分でも分かる。








分かるからこそ、心配かけたくないし、





たかたが雨に濡れてそのまま寝たくらいで、

風邪引いた自分が.......かっこ悪い。









A「あたしのせいだよね.....?

寝室の鍵閉めて、ソファーで寝させたりしたから。」








紫耀「ちがうよ......ゴホッゴホッ。

ほんとに......平気だから。」





A「でもっ！...........あたし.........

せめて薬だけでも....買って持ってく。」








紫耀「ゴホッ.....大丈夫だから、ほんとに。」







昨日は強引に迫っておいて、

今日はこんなに弱ってる姿なんて、

まじでかっこ悪くて見られたくない。








昔は、Aにお世話してもらうことが

心地よくて......

何でも受け入れてくれる彼女に甘えてばかりいた。








でも今は違う。


Aに自分のことを好きになってほしくて.....




もっと頼られたくて、

もっと支えになりたくて、


もっと......男として意識して欲しい......







いつまでもお世話されるばかりの年下は、

嫌なんだ。







だから.........







紫耀「来てもいいけど.......ゴホッ.......

来たら襲うから.....

..............今日は絶対に、キスだけじゃ帰さない。」









その言葉に、無言になる彼女。





Aは、俺から離れようとしてる。





だからきっと..........

こう言えば、家には来なくなるって、

分かって言ったんだ。







それでいい。今日だけは、会いたくない。








紫耀「........じゃあ、また。」








彼女の返事も聞かず、俺は電話を切った。









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車を運転していると、

頭がズキズキと痛んで、意識が朦朧とした。






絶対、高熱。






夕飯を買って帰る気力もなくて、

そのまま家へと帰宅した。








自分の家のはずだけど、いつもとは違う。




朝、脱ぎっぱなしだった部屋着は。

綺麗に畳んであって......


散らかってた机の上も、整理されている。






部屋に残るAの形跡が、愛おしかった。









そんな時ーーーーーーーー



玄関のドアをどんどんと叩く音が聞こえてきた。

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