【歌い手】俺たち、君の運命の相手です。【浦島坂田船】

#緑の話 ページ28

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わたるside


気がつけば、いつも張っていた緊張感がなくなっている

その緊張感は、ストーカーの殺気とも言える



つけられているときは、だいたいわかる



でも、その気配がない


それも、Aちゃんが家を出てから


実質、Aちゃんが家を出て１時間は経っている。



そばのコンビニに買いに行く、なんて、そんな悩んだり混んだり…何かない限りこんな遅いなんてありえない


そろそろ心配になってきたのか、そらるさんやみんなもソワソワし始める


「…ねぇ、Aちゃん遅くない？」



そんな中、意外にも口を開いたのはまーしぃだった。


「確かに。コンビニに１時間は笑えないよな」


探しに行く、と立ち上がるそらるさん。
それに続いて、さかた、まーしぃ、ラマンも立ち上がる



…言うべきか


ストーカーの事を？わざわざ？みんなに？


迷惑になるだけじゃないか


そもそもなんだ、ストーカーの殺気を感じないって。
エスパーかよ、なんて俺の立場なら突っ込む。

でも、ほんとに、Aちゃんとストーカーの人たちが絡んでそうで仕方なかった



立ち上がりもせず、悶々と考え始めた俺を

そらるさんが引っ張った




「うらたくん、言って」

「っえ？」



真剣な眼差しで見られるものだから、目を逸らしてしまった

全てを見透かされてそうな目



…Aちゃんにそっくり




「…実は、」



信じるか、信じないかはみんな次第


都市伝説みたいな言い方だけれど、ほんとにこれは



Aちゃんの生死が関わる事だと思ったから


いうしかない、と思ったから





Aちゃんを助けるために。






…まぁ、流石にストーカーの人もそこまでしないといいな、

なんて、甘い考えを持った俺がいた。







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