【歌.い.手】男装歌い手はじめました【そらる】 (ページ36)

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#36 ペンギンの方がページ36

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「Aちゃぁん、ちょぉっといい～？」

『…ハイ』

翌日の朝。

男装ではない素のAの姿で登校した、ところで

またいつもの甲高い声で話しかけられたと思えば、愛生の背後には殺意を表すオーラみたいなものが漂っていた。

…死ぬのかな…←

クルッと背中を向け、ちょこちょことペンギンのように歩き出した愛生。
いや、ペンギンの方が歩くの早いし可愛いかな？←

ちゃんと付いてきてね、と10mに一回は振り向く。

…なんだ怖い。

『あの、もう少しでHR始まらない…？』

「あぁ、大丈夫ぅ！せんせぇには、愛生とAちゃんは参加しませぇんって言っておいたからぁ」

キャピッ♡ってぶりっ子されても吐き気するだけなんだよ…やだよ…

そんな愛生について行くにつれ、HRの都合で廊下に人はあまりいない。

段々と足を早めて言った愛生の足は、屋上へと向かった

重々しい音を立てながら開いた屋上のドアの隙間から、凄まじいほど冷たく、切り裂くような風に秋がそばに来ていることを感じた

「ね～え、Aちゃぁん」

『…なんですか』

「昨日ぅ

…ここで彼方くんと何話してたの？」

段々と低くなる愛生の声は、怒りを表すにはピッタリだった

「まぁさか、愛生がAちゃんと遊んであげてること。

チクったりしてないよね？」

とうとう語尾の小文字が抜けた。

本気で怒ってる。

『…別に、そんなんじゃないです』

嘘は、言ってない。

昨日ここで話した内容は、男装のことと歌い手のこと。

それだけだ

「じゃあ、なんで愛生があんな目見なきゃいけなくなったの？」

綺麗に整ったその顔は、怒りと悔いに歪んで可愛いものも可愛くは映らなくなってしまった。

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