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# 35 ページ36

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Aside




『月果ちゃん、どういうこと?!』



急いで事務所に来たあたしとモモは、まだ息が整わない


そんなあたしたちを一瞥し、淡々と話し始める。


「Aちゃんの歌声を放って置くわけにはいかないのよ。それに、Aちゃんはユズくん歌声が届く。一石二鳥じゃない?」


顔色ひとつ変えずにそう告げる月果ちゃんが、少し怖く見えた



そんな月果ちゃんをモモは止めようとした



『Aの意思なしにですか』


「えぇ」


『それに、Aはもう』


「それも察しはついてる」



モモを押しのけ、月果ちゃんはあたしの前に歩み寄った



「Aちゃん、それで良いわよね?」





目の奥まで見透かされてる


怖い、怖いけれど





ついさっきまで歌う意味を求めていたあたしには都合がいい



それに、前向きに考えてみれば


これは月かちゃんがあたしの声を認めてくれた、ということにもなる




少し、やってみようかなという意思が芽生えた



『…月果ちゃん』


『A』


『モモ、いいの』



悟ったのか、モモがあたしを止めようとする




小さく深呼吸して、再び月果ちゃんの目を見る




『…モモの曲を歌い続けられますか』


「それはモモとAちゃん次第だけれど」


月果ちゃんの目線がモモへと変わる

それに合わせ、あたしもモモを見る


モモはというと少し驚いた表情


だが、すぐ顔色を変え、小さく笑った



『…Aが歌ってくれるなら、どんな曲でも書きます』




優しい声色に背中を押され、あたしは決意した



『…モモの曲で、歌手、やります』




「ふふ、そうこなくっちゃね」




月果ちゃんは笑い、これから忙しくなるわよと残して部屋を後にした。






『ほんとにいいのか?』


『いいの、モモの曲を歌えるなら』





それに






仁乃さんに負けたくない、という邪念が生まれた






それをどうすることもなく、あたしは歌手デビューを決意した






もう後戻りはできない

そんなことわかっていた。





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設定タグ:覆面系ノイズ , 杠花奏 , 榊桃   
作品ジャンル:アニメ
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栗山(プロフ) - 瑞希。さん» 瑞希ーだーー!! (2017年4月21日 18時) (レス) id: 5a57ec5ebf (このIDを非表示/違反報告)
瑞希。(プロフ) - 川合っす。笑笑。 (2017年4月19日 23時) (レス) id: 12fbe3d2f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:栗山 | 作成日時:2017年4月19日 20時

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