【覆面系ノイズ】放課後、旋律がきこえる【杠花奏】 (ページ23)

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Aside

モモに言われた“あの人”がわからなかったから、とりあえず月果ちゃんのところに来た

『月果ちゃーん、いるー？』

ドアを開け、声をかけると月果ちゃんが奥の部屋から出てきた

『あら、モモの“あの人”で通じる子初めてだわ』

少し意味がわからず、首をかしげると笑ってなんでもないと言われた

『あ、も少し待ってて、すぐ終わらせるから！
そこの椅子座っといて』

月果ちゃんは顎で近くにあったテーブルを指した

というか月果ちゃん相変わらず忙しそうだなぁ…

いや、前より忙しそう。大変ね

クルッと背を向け、資料の束を持ちながらテキパキと動く月果ちゃんを見ながら、指された椅子に腰掛けた

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『それで、モモはどうしたの？』

あのあと少し待って、月果ちゃんが仕事を終えて来てくれた

今はテーブルを挟んで向かいに座っている。

月果ちゃんの癖かな、完全なオフで座るときに肘ついてる

まぁそんなことは良しとして

『モモはまだ学校だよ』

『え、Aちゃんを置いて？』

『うん、というか…モモに先帰ってろって』

あのモモが？と驚く月果ちゃん。

それもそうだ

モモはなぜか、保護者のようにあたしの行動にいちいち厳しい。

『まぁ、モモも忙しいんだろうし…』

そういうと、月果ちゃんも察したように頷いた。

そして、考え込むように月果ちゃんはあたしの目を見る

しばらくの無言のアイコンタクトが終わり、月果ちゃんが口を開いた

『…ね、Aちゃんって、歌デビューは』

『しないよ』

遮るように返事をした

『あたしの声は、ユズくんだけのものだから』

言った後に少し考えた。

モモのものでもあるのかな

だって今はモモの曲を歌ってるんだもの

『じゃあ尚更、そのまだ見つからないユズくんに声を届けたくなぁい？』

『それは…』

それは、あたしでも考えた。

でも、やっぱり、ユズくんとモモ以外が作った曲を歌うことには抵抗があった

『…モモとユズくんの曲以外は、歌えない、気がする…』

それを聞いた後、月果ちゃんは満面の笑みに変わった

『じゃあ、モモの曲でデビューすればいいのよ！』

『…ふぇ？』

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