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Aside
ユズくんに届いて欲しくて歌って来た
でももうその意味をなくしてしまった
歌う意味が欲しくて、居場所が欲しくて、ただただ歌い続けた
『A…ッ』
モモの腕が後ろから抱き寄せる
『やめて、モモっ、離して!』
必死に足掻くも、今度は口を覆われる
『ーッ、〜〜!!』
『やめろA、声、潰れるぞ』
荒い息を整えながら、一言一言に重みをつけ、言い張るモモ
わかってる、わかってるけど
今のあたしを止められるのは歌だけで
歌ってないと自分が見えなくなっちゃう
また歌えなくなってしまう恐れもあるけれど
それでも今のこの感情を歌に表さない方がよっぽど怖かった
『とにかく落ち着け。月果さんがお前に話があるって』
今まで、何度か感情が抑えられなくなったことがあった
その時にいつもモモは、あたしの手を握る
握ったその手を自分の心臓へと持って行く
そして
『俺がいる。俺はお前の居場所だ』
その言葉をくれる
この言葉は、あたしにとっての魔法の言葉なんだ。
息を整えながら、モモの目を見る
モモの目は、しっかりとあたしの目を捉えてる
その安堵と共に、恐怖に襲われる
モモがいなくなったら、あたしはどうなっちゃうんだろう
そんな不安は日々大きくなるばかりで
今日、今だってほら
より一層、不安が増した
ユズくんに、深桜
そして、さっき廊下ですれ違ったぱっつんマスクの子
有栖川仁乃さんまでいる学校だなんて
こんな運命、引き裂いてくれればいいのに
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『月果ちゃん、話って』
『Aちゃんの歌手デビューが決まったわ』
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栗山(プロフ) - 瑞希。さん» 瑞希ーだーー!! (2017年4月21日 18時) (レス) id: 5a57ec5ebf (このIDを非表示/違反報告)
瑞希。(プロフ) - 川合っす。笑笑。 (2017年4月19日 23時) (レス) id: 12fbe3d2f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗山 | 作成日時:2017年4月19日 20時