天使になった彼女【第五人格】

白33 ページ34

『ナワーブさんの事は嫌いじゃないの、ドキドキしてるけど…これが好きとか、そういう気持ちなのかが分からない』


今の気持ちを正直に伝える。
嬉しい気持ちが大きいのは事実、だけど…これが彼と同じ感情なのかは分からない。


「今はそれでもいい、本当に嫌じゃねぇなら、目ぇ閉じて」


私は何故か素直に目を閉じた。
何をされるかなんて分かる。
なんだろう、それなのに全然嫌じゃない。
キャンベルさんの時と何が違うのか…その答えは考えても、今は出そうにない。
出会ってそんなに経ってないのに、ナワーブさんに…もっと触れて欲しいと思う自分がいる。


『ナワーブさん…』

「A…いいんだな…？」




『……はい』


甘ったるく塞がれた唇から、脳がグズグズに溶けて、鍛えられた胸に添えた手にナワーブさんの早い鼓動を感じる。
どちらのものか分からない唾液と一緒に舌を吸われるのが、気持ちいい。


「んっ……、ナワーブって呼べよ」

『ナ……、ナワァ…ブ…』

「……A」


口を離すと銀の糸が伸び、離れたくないと言っているようだった。


「好き」

『ぁ…』

「絶対後悔させねぇから、付き合って欲しい」


顔から火が出るほど恥ずかしい。
強く抱き締められて、彼の胸から逃げることが出来ない。

私は彼に伝わる程度に小さく頷く。


戻ったら、キャンベルさんとしっかり話さないといけないな…


「っしゃぁぁ！！俺なしじゃ生きていけなくなるくらい、好きにさせるからな！」

『…っ？！』


両肩を掴まれて、お互いの顔が見える。
眩しすぎる彼の笑顔は、それ以上見れなかった。

この感情が、恋だったらいいな。

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