白11 ページ12
『あぁ…どうなるの…』
「大丈夫、こっち見て?」
カールさんの画面に切り替えられる。そこには灰色の大きな棺桶が立っており、中にはヘレナが眠っていた。
『これ、人形?』
「イソップの能力、納棺だよ」
人形だと思ったそれが、突然目を開けて動き出す。出た後の棺桶はドロドロと地面へ消えてしまった。
ーイソップさん、ありがとうございます
ーいえ、美智子さんがこっちに向かってます。治療は向こうでしましょう
ーはい
先程の椅子にはもう誰も座っておらず、出てきたのはヘレナだった。
結局試合は四人とも逃げ切り、完全勝利となった。凄くはらはらしたし、手当したとはいえ、ヘレナの傷の具合も気になるが…ゲームはとても興味深いものだった。
『そういえば、キャンベルさんはどうしてこのゲームに参加してるんですか?その火傷も、もしかしてここで…?』
「大金が貰えるからかな。このケロイドはここで出来たものじゃないけど…私利私欲のために動いた罰、だよ」
『キャンベルさん…』
「僕は、心も…この醜い見た目通りの人間なんだよね。って、昨日会ったばかりのAさんに何話してんだろ」
キャンベルさんはそう毒を吐きながら笑っていた。私は椅子に投げ出されている彼の手に、そっと自分の手を重ねる。
『醜くないですよ、さっき話してて感じました。他人の良い面を見つける事は簡単ではありません、キャンベルさんは…綺麗ですよ』
「…?!」
一瞬驚いた顔を見せた彼は、本心かと疑うように私の瞳をまっすぐ見つめ返してきた。
私も逸らす事なくしばらくそのまま見つめ合っていると、彼が先に折れた。
「今度、頑張るからさ…僕の試合も見に来てよ」
『はい、喜んで』
私が微笑むと彼は俯いてしまったが、少しだけのぞく口元は笑っているようだった。
『じゃあそろそろ、私は戻りますね?』
「あ、うん。僕はもう少しここにいるよ」
『分かりました、ではまた!』
私は、キャンベルさんを残して観戦部屋の扉をそっと閉めた。
71人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朱璃(プロフ) - uruさん» 無常!良いですよね、かっこいいですよね(嬉)!!それにしても傭兵君ってめっちゃ人気なんですね〜♪かっこよくて可愛いから…当たり前かなw (2021年11月26日 9時) (レス) id: d7c7228678 (このIDを非表示/違反報告)
uru(プロフ) - 作者様の推し、分かります( ˇωˇ )ちなみに私は無常が再推しで傭兵が推しです (2021年11月25日 22時) (レス) id: 8bf1a19eb7 (このIDを非表示/違反報告)
朱璃(プロフ) - RENKAさん» うあぁぁ、ありがとうございます!!(嬉)いい子達に育つよう頑張ります〜♡♡♡ (2021年11月15日 15時) (レス) id: d7c7228678 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 朱璃さんは絶対良いお母さんになりますね!…なんか感動してきた(笑)本当におめでとうございます👏🎉 (2021年11月15日 2時) (レス) @page50 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - お久しぶりです!それとご出産おめでとうございます!🎉💓出産お疲れ様です!元気にご成長されることをお祈り申し上げますm(*_ _)m (2021年11月15日 1時) (レス) @page50 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朱璃 | 作成日時:2021年10月20日 20時