祈り124 ページ27
それは、母の名が彫られたお墓だった。当たり前だがここは墓地ではない。
という事は、グレイさんが立ててくれたのだろうか？
父は入ってはいないようだ。
特に花などもなく、1つだけでぽつんと寂しい気もするが…私はいい場所だと思った。
『お母さん、あなたの娘…Aだよ。』
返事は返って来ない。
それでも、大事に思ってくれてたお母さんの気持ちは伝わった事を、ちゃんと自分の口で伝えたかった。
どれだけの時間しゃがんで話し込んでいただろう。明るかった空はオレンジ色に染まり、足の感覚ももう無くなってきていた。
ここに来てから避けてきた…1番聞いてもらいたかった話、これを話したら帰ろう。
『あのね…お母さんが見た、包帯の少年なんだけど、その子はザックって言う名前で…ね…？』
あれ、涙が…。
『今の私の…大切な……う、うぅ……。』
ザックが死刑になる。
私をずっと護ってくれていた…
大好きな、大好きな人…。
『お願い…傍にいたいの…。』
「おい。」
聞き間違えることなんてない、大好きな彼の声。あぁ、幻聴まで聞こえるなんて…病気かもしれない。
お母さんのお墓に寄りかかるのは、見慣れた汚れたパーカーと包帯に身を包んだ…
「んだよ、せっかく会いに来てやったのにその酷ぇ顔はよぉ？」
『ザ…ザッ…ク……？』
「おー、俺だ。」
『嘘…、なんで……だって…。』
「だってもクソもあるかよ、会いたかったぜ…A。」
『私も…私も……！！』
「また、んなもん握り締めて…。祈ってねぇで、俺を信じろよ。」
ーー目の前にいんだろ？
空いていた時間を埋めるように、強く抱きしめられる。どうしよう、足が痺れて上手く立てないよ。
「お前ぐにゃぐにゃじゃねぇかよ！しかもなんか冷てぇし！！」
『朝からずっと、ここに居るから…。』
「はぁ？！」
涼しかった風は夕方になるにつれて冷たくなって、私を冷やしていた。ザックが一生懸命温めようとしてくれてる。
「まぁいい、お前がここにだらだらいてくれなかったらすれ違ってたかもしれねぇしな。」
『ねぇ…どうしてここに？』
「脱獄してから…」
『脱獄？！』
「おー。お前んとこ行こうと思ったけど、知らねぇだろ？だから、ビル出る時に神父が言ってた教会、そこに行って…まぁ、吐かせた。」
『？！？！！』
吐かせたって…
そもそも、今日私がここに来るかなんて分からないじゃん！
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みょん(プロフ) - すっごい良かったです!!面白かったです！ザックの絵がとても上手いです羨ましいです。本当に読んでいる間楽しかったです。楽しい時間をありがとうございました！ (2023年2月25日 18時) (
レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
天邪鬼 - 最後泣けました！次に繋がるように話が書いてあって凄いと思いました! (2023年1月3日 23時) (レス) @page29 id: 04e101ca0d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ - とても楽しませていただきました。ありがとうございます！絵がめちゃくちゃ上手いですね...！ (2022年11月7日 21時) (レス) @page29 id: 14aea54ff7 (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 絵うまっ (2022年8月1日 19時) (レス) @page29 id: 52346b4a47 (このIDを非表示/違反報告)
チエ - 面白かったし最後泣きました。夢主ちゃんとザックが付き合ってよかったです。付き合ったその後をぜひ番外編としてだしてほしいです。 (2022年3月8日 13時) (レス) @page29 id: d855d99d2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱璃 | 作成日時：2021年10月13日 15時
