祈り112 ページ15
「与えてくれなくてもいい？！レイチェル、君は…っ。僕はいつだって君に与えてきたのに！君のために食事も、洋服も、玩具も…あのフロアだって用意した！そうさ、君が生き続ける場所を与えた。それを否定するって言うのか…！」
「ごめんなさい、先生…。でも、それは私の…欲しいものじゃなかった。」
「じゃあ、ザックは君に何をあげたって言うんだ！ゴミ同然のナイフくらいだろ？！」
お父さんは頭を抱え、その場をうろついている。突然何かを思いついたように、凍りついたような瞳で…レイチェルを遠目に見つめた。
「あぁ…それとも、その馬鹿みたいな誓いかい？君が死ぬための、そんなのどうかしてる！僕は…君を…！生かそうとしたのに！」
「先生、私は…あんな生き方はしたくなかった。本当は一瞬でも望まれて生きて…望まれて死にたかった。ザックと誓いを立てて、皆で一緒に上を目指しながら、そう気付いたの。私は…それで十分なの。」
呼吸だけで精一杯だろうに。
額に汗を浮かべつつ、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。
「ならもっと、絶望してくれよ。だって、今！僕がその誓いを奪ってやったんだぞ！」
「黙れ…！」
「うるさい…言わせてくれよ！」
「先生…奪われてなんか、ないよ？」
「…？！」
「これは…ザックと私がした誓い…。誓いは、誰かに奪われるものじゃない！」
「…あ…あぁ……。」
「たとえ、叶わない事があったとしても…いいの、それは2人の事だから。分かっているから……。」
「待てよ、俺はそんな事認めねぇぞ。」
「ザック、この誓い…私が背負って持っていくから…自分の事、嘘つきだなんて思わないで？」
ーーザック、約束は叶わなくてもいいんだよ。
レイチェルはそこまで話しきると…目を閉じた。
「おい、レイ…レイ…？……レイ！！」
「…はは……あははははは！」
「ねぇ、レイチェル。君が誰も見ない、心を許さない、そんな目で一生いてくれるなら…共に生きられなくてもいい、そう思っていたよ。そう、君が1人永遠に孤独でいてくれるなら！僕は死んだっていいと思ってたんだ！」
足元に雫が落ちる。
「なのに、どうして君は…最後まで孤独から遠いところへいくんだ。…全部ぶち壊しだね、…だからもう、終わりだ。レイチェル…君の望みも、ザックの望みも、全部…全部…。僕の望みと一緒に、終わりにしてあげるよ！」
拳銃を握りしめたまま、こちらにゆっくりと歩み寄る。
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みょん(プロフ) - すっごい良かったです!!面白かったです！ザックの絵がとても上手いです羨ましいです。本当に読んでいる間楽しかったです。楽しい時間をありがとうございました！ (2023年2月25日 18時) (
レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
天邪鬼 - 最後泣けました！次に繋がるように話が書いてあって凄いと思いました! (2023年1月3日 23時) (レス) @page29 id: 04e101ca0d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ - とても楽しませていただきました。ありがとうございます！絵がめちゃくちゃ上手いですね...！ (2022年11月7日 21時) (レス) @page29 id: 14aea54ff7 (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 絵うまっ (2022年8月1日 19時) (レス) @page29 id: 52346b4a47 (このIDを非表示/違反報告)
チエ - 面白かったし最後泣きました。夢主ちゃんとザックが付き合ってよかったです。付き合ったその後をぜひ番外編としてだしてほしいです。 (2022年3月8日 13時) (レス) @page29 id: d855d99d2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱璃 | 作成日時：2021年10月13日 15時
