祈り110 ページ13
「よかった…間に合った……。」
『危なかった…。』
「このビルは最後までわけわかんねぇ事ばっかさせやがって。でもまぁ、よくやったな！お前らがいなけりゃ…ここまで来れなかったからよ。」
「それは、私も一緒だよ。」
これでやっと、外に出られるんだ。
階段下はもう火の海。
でも、目の前には外への扉がある。
ザックは扉へと真っ直ぐ進んでいく。対称的にレイチェルは歩みをやめ、立ち止まってしまった。
「ザック…。」
「…どうした？」
「ザック、外に出たら…私を殺してくれるんだよね？」
「…今更なんだよ。」
もぞもぞと話すレイチェルにザックも歩みを止めた。
「あのね、ザックも…それを望んでくれている？死にたいと思う気持ちは変わらないの、でも…。」
『…。』
「でも、出来ることなら…私を望まれたい。望まれて、殺されたい。死にたいと願っているのに、もしそれが…孤独だったと思うとなんだか急に寂しくて…。」
ーーザックが心から望んで私を殺してくれたら、本当に嬉しいなって思うの。
「さっき、ナイフを貰ったのにわがままだと思うけど。」
「俺がさっきナイフをやったのは、お前が俺に殺されるまで生きろって事なんだよ。」
「！」
「じゃなきゃ、今まで俺は誰かに何かやるなんてした事ねぇんだ。自分が望んでねぇ事は、誓ってまでやらねぇよ。」
「ほんと？」
「お前、しつこいなぁ！俺は何度も言ってんだろ！」
「嘘が…嫌い？」
「つーか、何先走ってんだよ！その時は、いい顔しろよ？お前もともと、笑った顔下手みてぇだしな！」
ザックはレイチェルの頭にポンと手を乗せる。
「うん！」
レイチェルもまた、ザックの言う下手くそな笑顔を向けた。
カチリ
ドンッ…
「…。」
この時、私達は出口を目前に安心しきっていたんだ。背後から忍び寄る影に気付かず…
銃声が響き、その弾はレイチェルを撃ち抜いた。
「おい、レイ…？」
レイチェルは何も言わず広がっていく血溜まりに身を沈めている。
「なっ！おい、なんだよこれ！！」
「…ザッ……ク？」
『レイ…チェル？』
「あははははは！あぁ、もう酷いなぁ…めちゃくちゃだよ。」
『お…お父さん。』
「やぁ、A…元気そうでなによりだ。」
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みょん(プロフ) - すっごい良かったです!!面白かったです！ザックの絵がとても上手いです羨ましいです。本当に読んでいる間楽しかったです。楽しい時間をありがとうございました！ (2023年2月25日 18時) (
レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
天邪鬼 - 最後泣けました！次に繋がるように話が書いてあって凄いと思いました! (2023年1月3日 23時) (レス) @page29 id: 04e101ca0d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ - とても楽しませていただきました。ありがとうございます！絵がめちゃくちゃ上手いですね...！ (2022年11月7日 21時) (レス) @page29 id: 14aea54ff7 (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 絵うまっ (2022年8月1日 19時) (レス) @page29 id: 52346b4a47 (このIDを非表示/違反報告)
チエ - 面白かったし最後泣きました。夢主ちゃんとザックが付き合ってよかったです。付き合ったその後をぜひ番外編としてだしてほしいです。 (2022年3月8日 13時) (レス) @page29 id: d855d99d2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱璃 | 作成日時：2021年10月13日 15時
