9話 ページ9
チ「東堂さんが適切な処置してくれてなかったら、脳に空気が回らず、もう目が覚めなかったかもしれないんだって。命の恩人。」
そうだったんだ。
あれ、そういえば。
松「Aさんは？」
チ「あれ、さっきまでいたんだけど。」
水「多分屋上ですよ。」
ん？この人は？
水「あ、申し遅れました。担当医の水島です。東堂とは研修医時代の同期で。」
研修医時代？
この病院で働いてたんだ。
松「俺、ちょっと行ってくる。」
ーあなたsideー
外の空気を吸いたくなって、夜景を見ていると、急に後ろから。
松「Aさん、。」
と話しかけられた。
「松村さん。来てたんだね。」
松「うん。臨時マネに送ってもらって。お疲れ。ありがとう。」
お礼なんて。
「お礼は水島先生に言って。」
松「でも、Aさんが処置してなかったら手遅れになってたんでしょ。」
「でも、私ダメだな。、できるっていう気持ちより怖いっていう気持ちが勝っちゃった。」
前はこんなこと思わなかったのに。
松「怖いくらいがちょうどいいじゃん。」
え？
松「自分のこと過信する人は伸び代がないって何かの本に書いてあった。」
私は伸び代があるってこと？励ましてくれてるのかな？
「ありがとう。」
松「屋上好き？」
「あ、うん。、ここから見る夜景が好きで。」
松「きれいだね。夜景。」
綺麗なのもそうなんだけど。
「ここって周りがほとんどオフィスビルなんだよ。」
松「ん？」
「だから、家族とか恋人とかと過ごしている人の光じゃなくて、まだこんな遅い時間まで仕事を頑張ってる人の光なの。、研修医時代からここに来るたびに、私も頑張らなきゃって思える。まあ、いわば戦友かな。」
こんな話してもつまらないか。
「寒いでしょ？戻ろっか。」
松「俺の話聞いてくれない？」
あ、そっか。元々今日は松村さんと食事に行く約束してたんだった。
「うん。」
松「俺。Aさんのことが好き。」
、、ん？
好き？
Likeってこと？
松「困らせてごめん。お見合い相手がいることもわかってるし、京本から告白されたことも知ってる。今すぐにとは言わないから、俺のことも候補に入れてほしい。」
そっちの好き？
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作者名：かなこ | 作成日時：2022年11月28日 16時
