48話 ページ48
京本さんは優しいから、なかなか選択肢を選べない私のことを待っていてくれるけど、
こうやって優しさに甘えて楽しい提案に心を満たして、マネージャーとタレントの距離感よりも少し近い状態をずっと続けてるのってすごく不誠実なことなんじゃないかな。
松村さんは、あれから特にアクションを起こしてくる感じはないけど、京本さんは毎日のように会う相手だし、無意識のうちに傷つけてしまっていたりしたら嫌だな。
はっきりしないとダメだよね。
忙しいとはいえ、もう2ヶ月ぐらい保留にしちゃってるんだから。
ちゃんとしないと。
考えないと。
京「Aちゃん？どうかした？」
「え？」
京「あ、いや。急に静かになっちゃったから何かあったかなって。ほら、通話って声は聞こえるけど、顔は見えないからさ。」
「あ、ううん。大丈夫。」
このドラマの担当が終わったら一回ちゃんと考えよう。
ーーーーーーーーーー
ー京本sideー
その後の撮影はそこまで大変ではなかった。
倒れ方とか呼吸の仕方、オペをされる時の麻酔から意識が落ちる時の様子をAちゃんに教えてもらったし、納得がいく演技ができたいい思い出のある作品になったと思う。
昨日最終回の放送が終わって、今日からは映画の撮影準備とツアー、北斗のドラマの主題歌の宣伝が同時進行で進む期間になる。
まあ、でも。今までよりは忙しさはマシになったか。
チ「おはようございます。」
ん？
京「おはようございます。、え？Aちゃんじゃないの？」
お迎えの担当までは書いてないけど、てっきりそうなのかと。
チ「あ、聞いてなかったのか。。東堂さん、マネ辞めたよ。」
、ん？、え？
京「え、なんで？」
チ「理由は知らないけど、やめたいって相談されたのは1ヶ月ぐらい前だったと思う。仕事できるし、助かってたんだけど、まあ次の道に行こうとしてる人の邪魔はできないなと思ってさ。会社自体を辞めるって言ってたから。」
SEに戻るとかではなくて、、会社を辞めた？
え、なんで？
チ「別に嫌気が差して辞めたわけではないと思う。、むしろ大事にされてたんだと思うよ。これ見て。」
手帳？
俺の好きなもの、本番前の集中の仕方の癖。
ストレス多めな時の仕草。
これって。
京「引き継ぎ？」
チ「そう。欲を言えば、一緒にツアーをまわりたかったって言ってたし。本当は辞めたくなかったんじゃないかな。」
じゃあ、なんで？
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作者名：かなこ | 作成日時：2022年11月28日 16時
