38話 ページ38
京「運んだ時にさ、俺の服の袖を握ってて、離れなかったから俺もそのまま寝ちゃった。、ごめんね。嫌だったら。」
、、え？
私、無意識とはいえそんなご迷惑を？
「本当にごめんなさい。、私、迷惑しかかけてない。」
京「そんなことない。俺嬉しかったよ。リラックスしてくれたんでしょ？眠れてなかったみたいだし、俺とあんずが役に立ったみたいで嬉しい。」
眠れていない原因は、そんな大袈裟なことじゃないんだけど、私は今あんまり人間関係がうまくいってない。
ドラマの撮影現場でありがたいことに京本さんからも監督さん方からも相談されることが多い。
そして、それを面白く思わない人が存在する。
京本さんイケメンだから、ドラマの女性スタッフさんたちから絶大な人気を誇る。
私の存在が面白くないんだろう。
私の分のご飯が用意されてなかったり、テストとして雨を降らせる時になぜか白羽の矢が立ったり。
他にも数えきれないぐらい色々と。
幼稚な嫌がらせだってわかってる。でも、古谷さんのことが起きたばっかりでメンタルが弱ってたから。
ちょっとずつ心のバランスが崩れていっていることには私も気がついてる。
でも、どうしたらいいのかわからない。
心のバランスが崩れたせいか不眠症気味になって、ご飯もあまり食べられなくなった。
でも。
昨日は不思議と眠れたし、ご飯も食べられた。
なんでだろう。
京「Aちゃん？大丈夫？」
「うん。大丈夫大丈夫。、ごめんね。本当に迷惑かけて。」
京「謝らないでよ。どうせなら喜んで。」
ん？そのセリフ。どっかで聞いたかも。
「ドラマの？」
京「っふふ。そう。、Aちゃん、最近不眠症なの？」
「あ、ううん。そんなこと。ないよ。」
京「嘘。、目が泳いでる。俺じゃ頼りない？」
そういうわけでは、。でも、今ドラマ忙しいんだし、心配かけたくない。
「最近さ、ドラマ見てるんだよね。」
京「え、ドラマ？」
「うん。恥ずかしながら、私この仕事につくまであんまり見たことなくてさ。素敵な演出家さんとか脚本家さんとかいろいろ勉強してる。オファーを受けるにしても、過去作って参考になるでしょ？」
納得してくれるといいけど。
勉強のために眠れない夜にドラマを見てるのは事実だし。
京「そうなんだ。なんかいい作品あった？」
「、私好みの作品ならあったよ。私、意外とラブコメ系好きかも。」
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作者名：かなこ | 作成日時：2022年11月28日 16時
