35話 ページ35
お料理を頼んで、しばらくお話をしてると、
ちょっと切り出しにくそうに、
京「ね、なんでお見合いに前向きになったの？」
と聞いてきた。
いつもだったら、どうやって本心を隠そうとか色々考えるけど、不思議と今日はそんな気にならなくて、
「人生100年時代で、この先の人生1人で生きるには長すぎるなと思って。恋愛して、その先に結婚ていうのは、この歳からだとハードル高いし。、私、お恥ずかしながら恋愛は初心者だから。お見合いが1番手っ取り早いよね。」
京「ね、恋愛したいとは思わないの？」
え？
それは。、、
「してみたいよ。、でも、アラサーで恋愛初心者なんて、流石にね。見込みなさすぎる。」
京「そんなことないよ。Aさんは、、魅力的な人だよ。」
気休めにしても、嬉しい。
「ありがとう。そんなこと言ってくれるの京本さんだけだよ。嘘でも嬉しい。」
京「、嘘なわけないじゃん。」
ー京本sideー
興味がないのに、好意を持たれるのも大変だけど。
全く相手にされないのもきつい。
「京本さんは？今、恋愛とかしたいの？」
え？
京「マネージャーがそんなこと言っていいの？」
「あ、ダメなのかな。、まあ、人だし、感情を殺して生活するのも大変だろうし、吐き出してもいいよ。私なら、誰にも言わないし。」
今は大事な時期だから、恋愛しちゃダメって頭ごなしに否定するんじゃなくて、話を聞いてくれるんだ。
優しい。
京「気になってる人ならいるよ。」
「いるんだ。どんな人？」
どんな人って。
こういうときってどうすればいいんだろう。
樹だったらどうする？
いや、樹の真似してもAさんには響かないか。
京「どんな人だと思う？」
「え、どんな人だろ。美人で、頭いい人とか？あ、それとも可愛い系？」
美人だし、可愛いし、頭いいからどれもまちがってないな。
京「美人で可愛くて頭いい人。全部合ってるよ。」
「そんな超人存在するんだ。え、私が知ってる人？もしかしてこの前共演した女優さん？」
たしかに、美人でピアニスト役、よく似合ってたけど、。
ただの良い共演者。
京「違うよ。ていうかあの子彼氏いるし。」
「あ、そうなんだ。じゃあ、私の知らない人か。」
京「よく知ってる人だと思うよ。」
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作者名：かなこ | 作成日時：2022年11月12日 11時
