8: at the health room ページ9
「この…アホ!」
ミヤアツムが駆けつけてきた。
ボールが顔に当たった衝撃で床に倒れたみたい。
頭がズキズキしてうまく立てない。
「先生、こいつ保健室連れて行きます」
そう言うと、簡単に私の体を抱き上げた。
少女漫画でよくみるお姫様だっこでもされると思ったら、肩に担ぐような形で体育館から連れ去られた。
人一人担いででも簡単に移動するからやっぱり鍛えてるな、と実感する。
「ごめん… よそ見した」
「謝らんでええから着くまで静かにしてろ」
こいつなりの優しさなんだろう。
今回ばかりは完全に私のせいだから本当に申し訳ない。
早足で運んでくれたおかげで、すぐ保健室に着いた。
「先生おらんねんな」
「運んでくれてありがと。
適当に冷やすから戻っていいよ」
「…黙ってそこ座っといて」
圧に負けてベッドに座る。
保冷剤をタオルに包むと、頰に当ててくれた。
「顔、ごめんな」
今、謝った…?
「え… いや、私がよそ見したから…」
「俺も気付かんで投げとった」
怒鳴られると思ってたから、なんか調子が狂う。
ミヤアツムは保冷剤を一旦頬から離した。
「もうアザになっとる…」
「いいから、ほんと気にしないで」
「気にするわ…
綺麗な顔が台無しや」
「へっ…」
「フッフ。なんや、そのマヌケな声」
急な発言と初めて身近で聞くミヤアツムの笑い声に、ドキドキしてしまっている私がいた。
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作者名:ありさ | 作成日時:2020年6月16日 17時