☆【ARS】短編集5 ☆ (ページ11)

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5年目の真実。O.S ページ11

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翔くんからAの話を聞いて
いても立ってもいられなくて。

いままで消したくても消せなかったAの番号を表示させる。

…5年経って初めてかける電話が
「子ども産んだの？」なんて
自分でもおかしいと思うよ。

…でも、真実を知らないことには、何もできないから。

かけても出てくれるか分かんないし
出てくれても俺の子じゃないって言われるかもしんないけど。
そしたらそれがAの本音なんだと受け止めよう。

知らなかったとはいえ、いままで二人を放ったらかしにしてたのは事実で。

もう他の誰かのことが好きならそれでいい。
Aと智輝が幸せなら…それで。

ただ俺は、真実を知りたいだけだから。

「……」

そんな思いを抱えて呼び出した番号は
案の定というか、繋がんなかった。

「……出ないか笑」

当たり前だよな。
番号くらい、5年も経てば変わっててもおかしくない。

だけど、俺が女々しいだけなのか。
どこかで繋がって欲しいと思ってた俺は
突きつけられた現実がかなりショックで。

…こんなにもAのことを忘れられてないんだって
忘れようとしてた彼女のことを想えば想うほど、まだ愛しいと思ってる自分に気づく。

電話が繋がらなかったくらいで落ち込んでられない。
あの時言えなかった分…
真実を知るまで追いかけるんだ。

「…もしもし、翔くん？悪いんだけど…」

翔くんに電話して、翔くんの友達の子どもが通ってる保育園と、Aがこどもを迎えに行く可能性が高い時間を教えてもらう。

俺がしようとしてることを知った翔くんは、最初こそ驚いたけど
「俺もできる限り力になるよ」と言ってくれた。

翔くんの友達の奥さんによると、Aは夕方の5時頃に智輝を迎えに来ることが多いらしい。
その時間によく会うことがあって、ママ同士で仲良いんだって。

…A、ママ友とかいんだ。

って、ちょっと安心。
世間て意外と狭いってホントだな笑

俺はちょうど、次の月曜が休みで。
ケータイが繋がらないなら、会って確かめるしかないでしょ。

移動手段がないからタクシーで行こうとしたら、翔くんが送ってくれることになった。
頼もしい。

5年越しに会う彼女と
俺の息子はどんな子かな。

Aのこと困らせてないといいな。
あいつ、すっげ優しいから、甘やかしてそう笑

まだ見たことも、会ったこともない息子を思い描いて

勝手に頬が緩む自分が、くすぐったかった。

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