【ＬＵＣＩＦＥＲ★ﾙｼﾌｧｰ】 ARS (ページ12)

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12】節約家/和也ページ12

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帰り道

シンと冷えた人気の無い歩道…

試しに息を大きく吐いたけど、まだ白くはならなかった。

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明かりの消えた文具店の前で

洒落気など無視のガラス向こうのディスプレイを

立ち止まって覗いてみる。

そこに広げられた、木箱に入った水彩画の絵の具とパステルのセット。

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和也「……高っ……」

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その高価な消耗品は、どうだと言わんばかりに

オレの…ケチな財布の紐に訴えて来た。

『喜ぶぞ～…オレを買ったら…アイツが確実に、喜んじゃうぞ～～』…と(笑)

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タクシーはやめて、テクテクと歩く。

…２０００円がこれで浮くだろ？…そしたら、あと…

…

…頭の中で電卓を叩く…夜の歩道の…主婦なオレ。

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今頃、どうしてるかね

寝てる？…いや、起きてるわな(笑)

きっと、膨れっ面で

フードを被って、待っている。

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帰ったらまた子育てかぁ(笑)

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デカイ子供が、あの部屋で待ちくたびれてる。

オレの

帰りを…待っている。

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玄関の鍵は

あれだけいつも言ってるのに、開いたままだった。

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和也「…ただいまぁ～…」

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誰もいない小さなリビング

次に寝室を覗いて

つけ放題つけられた家の明かりを、智を探しながら消していく。

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そうだな…今日は

多分、空っぽのバスタブの中。

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ほら、やっぱりね(笑)

黒フードがすりガラスに透けてるよ

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パチンとわざと電気を消したら

中から…

智「…むっ… …何でだよ！」

って、猫が鳴いた(笑)

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猫を無視してリビングに引き返す。

テレビの前には

散らかったお菓子と、散らばった絵。

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その一枚を拾って

また風呂場に向かった。

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和也「…これさ… …回覧板の紙じゃないの？ど～すんのよ、裏にこんなに書いちゃって。」

智「……ん？…ダメだった？」

…

…全く、何とまぁ…成長しない人なんだろね……

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回覧板の用紙なんかに書いたら

残せないでしょうが

この絵が

手元に残らないなんて

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もったいないったらありゃしない

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