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「リナリーを早く出せアレン」
重い空気に呑み込まれそうになる中おもむろにクロウリーが口を開いた
軽く頷き、左手で球体を割りリナリーを出す
僕らの視線は目の前の双子を捉えるが、何故か辺りが歪んでいる様に見え冷や汗が額から流れ落ちるのが分かる
その時、何処からかピアノの音色が聞こえてくる
その音に合わせジャスデビが一つの唄を口ずさむ
[ゆりかごが ひとつ 現った…♪]
[ゆりかごに ひとつが 在った…♪]
[ひとつは ふたつに 為った…♪]
[ゆりかごは ひとつ 霧に紛れて 星ひとつ…♪]
僕らは目を疑った
双子は互いの銃口を互いのこめかみに当てがっている
そして…
[墓場でゆれて 消えてくよ……♪]
__パァンッ!!!!
引き金を引いた
「撃ち合ったッ!?」
あれだけの至近距離で撃ち合えば死は逃れられない…
何故そんな事…
「…影がひとつに集まってくっ…」
リナリーの言葉にジャスデビの影を見ると双子の影は一つに合わさりグルグルと渦を巻いている
僕らの周りを煙幕が包みはじめ辺りが見えにくくなってくる
「気をつけて下さいクロウリー!」
「ふん、次は何が出てくるんだか…お楽しみだな」
周囲の変化に気を取られているとラビの声が鼓膜を突いた
「アレンッ!クロウリーッ!バカ!そこから離れるさ!!頭の上だッッ!!」
そう振り向くのと同時にクロウリーがなにかに引っ張られていく
「ク、クロウリ…ッ」
声を発する間も無く、クロウリーは本棚に叩きつけられ
辺りには致死的な量の血が広がっている
【まず一人…】
そう言いながら僕らの前に降り立つのは、双子のジャスデビではなかった
「…誰だ…ッ!?」
ラビの声に目の前の奴は口を開く
【僕らは…ジャスデロとデビットは、本来ひとつのノアなんだよ…ジャスデビだッッ!!】
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作者名:こくう | 作成日時:2023年7月29日 1時