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「こんにちは、盂蘭盆会についてのミーティングに来ました」
とノックしてから部屋に入る。失礼しま〜すと心中で言う。別にSwitchの人たちとは見知らぬ仲ではないのだけれど。まぁ今は『プロデューサー』としてお仕事をしているので。
「やぁ、A。いらっしゃイ♪」
「うん、お邪魔します。」
と、彼______逆先夏目は手に持ったコップを揺らしながら話しかけてきた。うわぁにこにこしている。何か企んでそう。まぁただの偏見ですが。
「Aちゃん、今お茶を入れるので待っててくださいね♪」
お茶を入れくれる優しい先輩、つむぎさんである。夏目くんから酷い扱いを受けようともめげない起き上がり小法師みたいな人だ。
「あ、ありがとうございます......うわっ」
「お久しぶりな〜、A☆」
「うん、久しぶり宙くん」
と横から顔を出してくる宙くん。驚きかけた。多分今喉まできたかも。宙くんとは特技、というか共通の趣味があるためよく話していた間柄である。つむぎ先輩が帰ってくるまでパルクールの話で盛り上がった。微笑ましそうに見ていた逆先夏目がいたんだとかいないんだとか。
つむぎ先輩からありがとうございます、と言ってお茶を受け取る。
「早速本題に入ろうカ」
という夏目くんの声でミーティングが始まった。
チケットの売れ行きはそこそこ順調で、会場も下見も終わらせてここがこうだから、と説明をする。
「音響スタッフが足りないですね」
「大丈夫、知り合いに声をかけておいたヨ」
「あれはうまく口車に乗せたのほうが正しい気もしますが」
『鯉の餌にするよ』
恐ろしや夏目くん。それを若い子は怖いですねぇ⁉と流しているつむぎ先輩も恐ろしいや。
とりあえず話すことは話したのでミーティングは終了である。
「A、当日は子猫ちゃんと観客として観にきてヨ」
「え......でも」
準備とかプロデューサーとして参加しなければいけないと思う、と伝える。
「忙しいAちゃんを僕が企画したライブでもっと忙しくさせるのは忍びないので......」
「Aもあんずも無理しすぎな!休むべきだと宙は思います!」
そこまで言われると断りづらい。出鼻を挫かれたような気分だ。
「お気遣いありがとう、あんずちゃんと観客として観に行くね」
と笑う。もう少し頼ってくれてもいいんだけどな、なんて彼らは思っていそうだ。そして夏目くんは魔法をかける。
『君に幸せが在らんことを』
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作者名:月海 | 作成日時:2020年10月17日 20時