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「隊長」
「ゆたか、こっちおいで」
それを見た志摩がゆかたを降ろすと、隊長はその手を引いて分駐を出た。
そして、
「…九重」
ナナちゃんのそばにいる九ちゃんに志摩が何かを指示した。
「…ナナさん」
少し躊躇しながら彼女に声を掛ける九ちゃん。
そして、
「あなたは、学校に行ったことがありますか？」
そう問いかけた。
「え、何そのしつも」
ツッコミを入れようとすると、
「…ない」
ナナちゃんはすぐに答えた。
「…え？」
「…え、待って。小学校とか、中学校とかは？」
「…行ってない」
「…やっぱり」
驚く陣馬さん、俺に、まるで当たり前のように答えるナナちゃんを見て、志摩が呟いた。
「志摩、やっぱりって…」
皆目見当がつかない俺に、
「ナナちゃんは」
志摩が、
「無戸籍だ」
はっきりとそう言った。
「…む、無戸籍？」
「文字通り戸籍が無いことだよ。住民台帳にも記載されてないから身分証がないのも当然だ」
「…だから学校にも」
「学校にも病院にも行けません。だって、彼女はこの国に存在しないことになってますから」
俺の質問に志摩と九ちゃんが答える。
「は、は？そんな、そんなん有り得る？」
「そんなに珍しいことじゃないぞ。届け出を出さなきゃそうなるからな」
納得がいかない俺に陣馬さんが説明する。
「それに、久住が言ってたろ。彼女、買い取られたって。それからさっきのゆたかの話。ナナちゃんの両親は出生届を出さなかった。事情は知らないが、その後エトリに売られたって」
「…お、おい志摩っ」
「…あ、悪い」
『エトリ』という言葉を聞いて九ちゃんの袖を掴むナナちゃんの姿を見て、俺は志摩を制する。
でも、
「…ナナちゃん、今の話聞いてたよね？当たってる？」
志摩は彼女と目線を合わせるようにしゃがみ、尋ねた。
「ちょっと志摩さん…」
「そうだよ志摩、今聞かなくても」
「君は確かに久住に救われたかもしれない。でも、あいつは犯罪者で、他に被害者がたくさんいるんだ」
九ちゃんと俺の言葉には耳も貸さず、志摩は彼女に話し続けた。
そして、
「…君と、久住のこと聞かせてほしい」
真っすぐ目を見て言った。
すると、
「…九重さん」
彼女は九ちゃんの方を見た。まるで言ってもいいのか、と尋ねるように。
「…大丈夫。ここにいる人はみんなあなたの味方です」
九ちゃんのその言葉に、彼女は初めてほんの少しの笑顔を見せた。
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます！ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです！ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (
レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです！しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…！ありがとうございます！！ (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん！初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない？」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです！完結までよろしくお願いします！ (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました！更新楽しみにしています！ (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リトルバード | 作成日時：2020年11月12日 22時
