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Side:伊吹
「おー、ゆたか」
その声の主を顔には出てないけど超嬉しそうに抱き上げる志摩。
「ひさしぶりだなー!」
「ひさしぶりだなー、じゃない。ここ来ちゃダメって言ったでしょ」
「いてっ」
隊長に叩かれた坊主頭からはぺちんっと良い音がした。ゆたか痛がってるけど。
「え、てか、なんでゆたか?」
「今日、学校の創立記念日で休みなの。ハムちゃんも、うち出ちゃって面倒見てくれる人いないから連れてきた」
「あー、そういうことか」
俺の質問に隊長は呆れながら答えた。
すると、
「あ、ナナちゃんだー」
テーブルにあった彼女の写真を見て、ゆたかが言った。
「え、ゆたか、知ってんのか?」
「うん、このまえ、ピタゴラロボであそんだー」
「この前?」
ゆたかの言葉に志摩が聞き返す。
「うちに来たのよ。九重くんと一緒に」
「ああ〜。でもゆたか、ナナちゃん、話せなくて困ったろ?」
「え?はなせない?なにがー?」
「だから、ナナちゃん。九重以外とは話さないから楽しくなかっただろって」
隊長からのパスを受け、志摩はゆたかと会話を続ける。
すると、
「えー?おれ、はなし、したよ?」
まさかのゆたかの口から衝撃発言。
「…おい、ゆたかまじか」
「な、なんて?!」
「何を話したんです?!」
志摩、俺、九ちゃんは抱き上げられているゆたかに群がる。
「んー、いないんだってー」
ゆたかは俺らの方を見ながらそう言った。
「…いない?何がです?」
九ちゃんがさらに尋ねると、
「えー、おとうさんとー、おかあさん」
ゆたかは志摩に抱き抱えられ、足をぶらんぶらんさせたまま答えた。
「ナナちゃん、お父さんとお母さんいないって?」
「うんっ。おれがかいた、え、みていってたー」
「…絵?絵ってどんな?」
「かぞくのえー。おれとー、おとうさんとー、おかあさんのー」
志摩も見ただろーと、ゆたかは何度も質問する相棒に不服そうな表情を浮かべながら言った。
「…身分証明書がない」
「…個人情報もない」
隊長と陣馬さんに続いて、
「家族もいない…となると、あ」
九ちゃんと、
「…まさか」
志摩は同時に顔を見合わせた。
すると、
「てか、おれじゃなくて、そこにいるナナちゃんにききなよー」
ゆたかがある方向を指さしながら言った。
そこには、
「…ナナさん」
起きてきたナナちゃんがいて、九ちゃんがすぐさま彼女に駆け寄った。
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます!ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです!ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです!しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…!ありがとうございます!! (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん!初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない?」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです!完結までよろしくお願いします! (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています! (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年11月12日 22時