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「陣馬さんっ!」
法定速度ギリギリの猛スピードで芝浦署へ向かい、俺は分駐所に全速力で駆け込んだ。
「おー、お疲れ。悪いな、急に」
「おはよ〜九ちゃん」
「おっす」
すでにテーブルには陣馬さん、伊吹さん、志摩さんが座っていた。
「陣馬さん、ナナさんの新情報って?」
一つ空いていた志摩さんの隣に座って、陣馬さんに尋ねた。
すると、
「ああ。昨日のガサ入れ、辰井組の傘下だったんだが、事務所にこれがあった」
陣馬さんはある物を俺たち3人に見せてきた。
「…ナナちゃんの写真…」
伊吹さんは思わずそう声に出していた。
「しかもこれ隠し撮りだな」
「…なんでナナさんの写真が?」
志摩さんの言葉通り、その写真は俺たちがショッピングモールに行った時の物で、俺は陣馬さんの方を見た。
すると、
「組の奴らに話を聞いたら懸賞金が掛かってるらしい」
陣馬さんは少し声のボリュームを落としてそう言った。
「…懸賞金って…ハムちゃんと同じ…」
伊吹さんがそうつぶやくと、
「ああ。金額は彼女より多い1500万」
陣馬さんは眉間に皺を寄せた。
「…い、1500万…?」
「…いや、でも何でナナさんなんです?」
あまりの金額の大きさに絶句する伊吹さんと、なぜ彼女が狙われるのか分からない俺。
すると、
「…自分たちのスポンサーが殺されたのが、彼女のせいだって知ったから」
志摩さんは腕を組んでそう答えた。
「…え?」
「そうだ。奴らも俺らと同じ時期に彼女に関する情報を手に入れたらしい。だから今までエトリ側の人間に手がかりが一つもなかった」
「…彼女のせいって…違うでしょう、殺したのは久住です」
陣馬さんの言葉に疑問と怒りが交差する。
「久住も刑を終えたら消すつもりだろ」
「…は?後か先かの問題って言うんですか?!」
「落ち着け九重」
陣馬さんの言葉に立ち上がった俺を、志摩さんが座らせる。
「…え、陣馬さん、他には?ナナちゃんの名前や情報は?」
伊吹さんがそう尋ねると、
「いや、奴らも彼女の情報を全く把握してなかった。分かってるのは顔と、エトリの女ってことだけだ」
陣馬さんは神妙な面持ちで答えた。
「…もしかしたら本当に存在しないのかもな」
ナナさんの写真を見ながら呟いた志摩さんの言葉が、シンと静まり返った分駐所に響いた。
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます!ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです!ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです!しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…!ありがとうございます!! (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん!初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない?」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです!完結までよろしくお願いします! (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています! (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年11月12日 22時