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「…あの」


面会から戻ってきた車をマンションの駐車場に停めて、俺は重い口を開いた。


「…さっきは、すみませんでした」


助手席に座る彼女に頭を下げる。


だけど、


「…」


彼女はぼーっと前を見たままで、こちらを見向きもしなかった。


「…どうしても許せなくて」

「…」

「…それでつい、その、カッとなって」

「…」

つい数か月前の俺なら目の前にいる人が何の反応をしなくても大丈夫だっただろう。
でも今は、正直言ってきつい。


だからだろうか、


「…あいつはあなたが思っているような人間じゃないんですよ、ナナさん」


言わなくていいことまで口にしてしまった。


すると、


「…もういい」


彼女はうつろげな目をしたまま、前を向いて一言そう呟いた。


「…え?」

詳しく聞きたかったが、


「九重警部補」


女性職員の声と、彼女が窓を叩く音に邪魔されてしまった。


「…あ、はい」

俺はそう言いながら車を降り、


「ナナさん、今日はこの方と一緒に」


助手席から降りた彼女に指示しようとしたが、


「…」


彼女は俺の言葉が言い終わる前に歩き出してしまった。


「あ、ちょ、ナナさん」

「すみません。今日は色々あって…」

それを見て驚いた職員の方に俺は頭を下げた。

「いえ、こちらはお任せください」

「はい。22時頃には戻りますので」

「了解です」

俺の言葉に敬礼をした彼女はパタパタとその小さな背中を追いかけた。


「…振り出しか」


彼女にとって自分も他の人たちと同じような存在になってしまったような気がして、俺はすぐに二人と会う店へと車を出した。

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設定タグ:MIU404 , 九重世人 , 久住   
作品ジャンル:恋愛
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます!ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです!ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです!しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…!ありがとうございます!! (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん!初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない?」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです!完結までよろしくお願いします! (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています! (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年11月12日 22時

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