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Side:九重
「ナナさん、うるさかったでしょう?目冴えちゃいましたね」
404コンビを玄関で見送り、ソファに座る彼女のもとへ。
「テレビでも見ててください。お茶、入れますから」
適当にチャンネルを回してニュースを出した後、キッチンへ。
「次のニュースです」
「ミルクティーにしますか?それとも…」
背中越しにキャスターの声を聞きながら、茶葉の入った瓶を開ける。
すると、
「警察は、3ヶ月前の爆破事故で死亡した男を2年前の裏カジノ事件の容疑者として書類送検しました」
テレビから聞きなれたキーワードが聞こえてきて、振り返る。
しかし、
「…ナナさん?」
俺の目線はテレビではなく、それを見つめる彼女へと向いていた。
「…あっ…」
テレビの前の彼女はひどく何かに怯えているように見えた。
「男の名前は鴻上悟で、エトリという偽名を使い2年前の裏カジノ事件の主犯であることが関係者への取材で分かりました」
そんなこととは関係なくキャスターは次々と原稿を読み上げていく。
「…ナナさん?どうしたんです?」
すぐにキッチンから彼女の元へと駆け寄り、声を掛ける。
すると、
「…エ…エトリさん…」
彼女は震える声でテレビに映る鴻上の顔を見ながら言った。
「…エトリを知ってるんですか?」
「警察はこの件に関しても再捜査する見通しです。さて、続いてはお天気です」
彼女の顔を覗き込んで恐る恐る尋ねる俺とは対照的にテレビからは明るいBGMが聞こえてきた。
次の瞬間、
「…やだっ…」
彼女が小さな声でうつろな目をしたままそう言ったのだ。
「ナナさん、ナナさんっ?」
彼女の肩を揺らすも、
「やだっ…やだやだやだ!エトリさんは嫌っ!」
パニック状態になっている彼女に俺の存在は意味がないようだった。
「ナナさん!落ち着いてください!どうしたんです?!」
「元通りは嫌!絶対に嫌っ!」
「大丈夫です!エトリはもういません!」
泣き叫ぶ彼女の肩を掴み、その声に負けないくらい大きな声でそう叫んだ。
すると、
「…い、ないっ…?」
彼女は我に返ったのか、肩で息をしながらも俺にそう尋ねた。
「…ええ、いません。私たちが捕まえました。だから大丈夫ですよ」
「…ほんとっ…?」
彼女の腕を擦りながら言うと、すがるように聞いてきた。
「大丈夫。もう誰にもあなたを傷つけさせたりしません」
それがあまりにも可哀想で、俺はその腕を引き寄せ彼女をそっと抱きしめた。
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます!ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです!ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです!しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…!ありがとうございます!! (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん!初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない?」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです!完結までよろしくお願いします! (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています! (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年11月12日 22時