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Side:伊吹
「超いいじゃーん!」
ショッピングモールから帰ってきて、ナナちゃんの新しいお部屋を見学!いろいろ見終えてリビングに戻ってくると、
「シーッ」
ブランケットを持った九ちゃんに叱られた。
「あ、寝ちゃった?」
「人の多いところは久々でしたから」
九ちゃんはソファで眠るナナちゃんにブランケットを掛けながらそう答えた。
「ちぇー、服着てもらおうと思ったのにー」
「結構だ」
ソファの前に座って彼女の寝顔を見ながらそう言うと、少し離れたテーブルに座る志摩がコーヒーを飲みながら言った。
あ、そうだそうだ。
「てかさー、何話してたのー?」
俺は忘れないうちに九ちゃんに聞いておくことにした。
「は?何がです?」
「さっきー。ドーナツ屋さんの前でー」
「それは俺も気になった」
とぼける九ちゃんを攻める俺と志摩。
すると、
「…やっぱり久住は神様なのかもしれません」
九ちゃんがソファで眠るナナちゃんを見つめながらそう言った。
「どういうこと?」
「ドーナツを見ていたので、食べたいのかと尋ねたら、久住が食べてはいけないと言っていたと」
「…久住、ドーナツ、あ」
九ちゃんの答えから俺はあるものを連想した。
「ドーナツEPか。久住は彼女にはさせてなかったみたいだな」
それと同じものを志摩が言いながら、メモを取った。
「彼女の意思決定においては久住がすべてです」
「しかも厄介なとこは彼女がそれになんの違和感も抱いてないことだ」
「ええ。むしろ久住の言うことは全て正しいと思っているようです」
志摩も九ちゃんも頭を抱えている様子だった。
「…ごめんなぁ、もっと早くに見つけてあげらんなくて」
二人の話を聞いていたら急に可哀想に思えてしまって、俺は寝息を立てるナナちゃんの頭を優しく撫でた。
すると、
「あ、ちょっと起こさないでくださいよ」
すごいスピードで九ちゃんにツッコまれ、
「分かって分かっ…あ」
余裕ぶっこく間もなく、彼女の目が開いてしまった。
「やると思った」
「ナ、ナナちゃんっ?ま、まだ寝てていいよー?」
「完全に起きちゃってますよね」
志摩にまた責められながら、俺は寝させようとナナちゃんの肩あたりをぽんぽんと叩くも九ちゃんの言葉通り効果なし。
「ほら伊吹、もう帰るぞ」
「俺もうちょっとナナちゃんといたいー」
「どの口が言ってんだバカ」
結局、志摩にフードを引っ張られながら泣く泣く新居を後にした。
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます!ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです!ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです!しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…!ありがとうございます!! (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん!初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない?」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです!完結までよろしくお願いします! (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています! (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年11月12日 22時