非番はずっと恋模様

8-1．守れないなら ページ8

＜リクエスト作品＞


SIDE：志摩


Aかずくんかずくん
どうした
A実家から何か野菜届いたから、おすそ分けしに行ってもいい?
助かるが、重くないか
Aうん!今日お仕事大変じゃなかったから大丈夫!
鍵使って入れ。泊まっていってもいい
Aはーい。密行、頑張ってね


「志摩ー？」

「なんだ」

「なぁんか、嬉しそうだねぇ」

「…別に」

運転中の伊吹にそう言われ、慌ててスマホをポッケにしまう。

「そぉ〜？口角、上がってましたけどぉ〜？」

「黙って運転しろ」

「はいほーい」

こいついちいちうざいな。


なんて思っていると、


「本部から4機捜」


無線から声がした。


「おっ、キタキター！」

「こちら404」

隣でテンション上がっているバカを横目に、無線に出る。


でも、


「世田谷区内のホームセンターから窃盗犯が逃走。マルヒは男性、身長180センチ程度、黒のトレーナーにキャップを着用。凶器所持の可能性あり。世田谷公園方面に逃走中、至急臨場せよ」


無線からの情報を聞いた瞬間、体が凍り付いたような気がした。


「…世田谷公園」

「…志摩？」

ぽつりとつぶやくと、伊吹も異変を察知したのか俺の方を見る。

「404、至急臨場せよ」

「よ、404、了解」

無線から催促の言葉が聞こえてきて、すぐに返事をする。

「…どした、志摩」

「いや、別に」

伊吹には適当に返事をし、しまったスマホを取り出すと、


職場にいろ。連絡するまで外に出るな。絶対だ


彼女にそうメッセージを打った。


「飛ばすぞー！」

「…」

事件に張り切る伊吹とは違って、俺はただ窓の外眺めていた。


君に何もないことを願って。

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