非番はずっと恋模様

15-1．いつもとは違うのです ページ24

＜リクエスト作品＞


SIDE：伊吹


「楽しみだなぁ♡早く食べたいなぁ♡」


いつもの分駐、いつものお昼。だけど違うのは、俺の高まる気分！


どうしてかって？


「いやいや。うどんなので、期待しないでくださいっ」


カウンター越しのキッチンにAちゃんがいるからだよ！ちなみにエプロン姿ね！
女の子のエプロン姿って何でこんなにきゅるきゅるなんだろ。誰か知ってる人いる？


「ノンノンノン。Aちゃんの手料理ってだけで十分なの」

「…手料理って…ゆでるだけですよ？」

人差し指を横に振りながら言うと、謙遜している彼女。

なんでも、Aちゃんの実家からうどんが大量に届いたらしく、しかもこれまた絶品とのお話。これは作ってもらうしかないと思い、Aちゃんのお休みの日に頼んで来てもらった。

「うどん、好きなんだよね〜。しかもめんつゆもAちゃんち直伝なんでしょ〜？ふふっ」

「…めんつゆなんかどれも同じだろ」

「Aちゃんが直接作ってくれるのとは違うのー」

何か真ん中に今の状況をよく思っていない人のツッコミ入ったけど、俺は気にしない。

「え、志摩」

「んだよ、肩に手を回すな」

「あら〜、不機嫌だね。なに嫉妬？」

「は？俺が？なんで？」

相棒の肩を組み、二人してキッチンに背を向けて小声で話す。


「や、だって今日のお昼当番、九ちゃんだからさ。今おふたりでお料理中でしょ」


Aちゃんと色違いのエプロンをつけ、せっせとネギを刻む九ちゃんを指さすと、


「べ、別に俺はそんなことで」


志摩の顔がちょっと歪んだ気がした。


すると、


「あ、Aさん」


背中越しに九ちゃんの声がして、俺ら二人は振り返る。


「はい？」

「後ろの紐、解けてますよ。エプロンの」

「あ、ほんとですか？」

「直しましょうか」

「すみません、お願いします」

そう言って九ちゃんがAちゃんのエプロンの紐に手を掛けようとした時だった。


「九重」


隣の相棒がすっと立ち上がった。え、何、怖いんですけど。

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