非番はずっと恋模様

　9-2．そういうことか ページ13

「…お似合いだから」


ぽつりと彼女はそうつぶやいた。


「…お似合いって」

「隊長は私と違って落ち着いてて、大人で、かずくんみたいに余裕があって、仕事もできて…それから」

「それから？」

俺が呆れながらそう尋ねると、


「…きれいだもん…」


と一言。


「…A」


何なんだこの可愛い生き物は。


「…きれいだもん隊長はぁぁ…」

「…お前はほんっとに…かわいいな」

「…うるさいぃ…」

泣きじゃくりながら必死に訴える彼女が可愛くて可愛くて、半ば笑いながら頭を撫でる。


「A、確かに隊長はお前が言った通りの人だ」


抱きしめていた彼女を離して、肩に手を置きその顔を覗き込む。


「ほらぁぁ…」

俺の言葉にまた涙をこぼす彼女を可愛いと思うのは不謹慎だろうか。


「A聞け。いいか？隊長はお前じゃない」


その涙を親指で拭いながら言い聞かせる。


「俺は、隊長じゃない、他の誰でもないお前がいいんだ。Aが好きなんだ」


映画みたいなセリフだな、なんて思いながら言ったら余計恥ずかしくなるから、今は置いておこう。


「…ほん、と？」

「ほんと」

「…きらい、に、なって、ない？」

「なってない、なってない」

5歳児のように肩を上げ下げしながら尋ねるAの背中を擦ってやる。

「…ごめん、なさいっ」

「分かったから。もう泣くな。明日目が腫れるぞ」

謝る彼女の髪に唇を寄せる。

「…かずくん…？」

「ん？」

「…すきっ」

縋りつくように抱き着いて来る彼女がトップオブ可愛いで、


「俺もだよ」


なんて緩みまくりの顔で言った。

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