19-2.どうやったら ページ32
「どこ行ってんだよ…」
正直こんなに長い1時間は人生で初めてだ。
何度スマホを見ても変わるのは数字だけ。
家の中を行ったり来たり焦っているのに、俺は間違ってないと、ここで連絡してしまえば彼女を甘やかすことになるのではないかと、折れたくない自分もいる。
こういう時ってどう解決したらいいんだ?
でも、待てよ。何で分からない?
ああ、そうか。喧嘩したの初めてだからだ。だから分からないんだ。
でもなんで今まで喧嘩にならなかった?
陣馬さんのところは毎日のように喧嘩してるのに。
ああ、そうか。
彼女が受け止めてくれていたからだ。
出会った時も、俺が夢を見てパニックになった時も、ガマさんの話をした時も、
彼女は、俺の気持ちを受け止めてくれた。
だけど俺はどうした?
≪でも、その先生が正しいんじゃないか?≫
伊吹にバカバカ言ってるけど、
「…俺も相当なバカだな」
自分自身に呆れ、スマホを持って玄関へ行こうとした時だった。
【着信 九重】
勤務中のはずの九重から電話があった。
「もしもし」
「もしもし志摩さん?」
「…なんだ、どうした」
「あの、Aさんは今一緒ですか?」
「…いや、今は」
喧嘩したなんて後輩には口が裂けても言えない。
でも、
「実は、さっき女性の声で入電があったんです」
そう言われた瞬間、体から血の気が引いていく気がした。
「…は?」
「名前がAさんと同じで、志摩さんの自宅近くだったので、もしかしてと思って」
「…」
一瞬、思考が停止する。何が何だか分からない。
「志摩さん?もしもーし、聞いてますか?」
「どこだ」
九重の声がやけにのんびりしているのにも腹が立つ。
「…え?」
「現場はどこだ早く言え!」
俺はスマホに向かって、後悔と自分の怒りを発散させるように怒鳴った。
1104人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「志摩一未」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結城(プロフ) - 伊吹さんの方からやってきましたがやっぱりため息でますー(//∇//)たまたま早起きして読んでいたのですがにやにやとため息でバッチリ目が覚めました!ありがとうございます^ ^ (2020年9月4日 5時) (レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
MAYU(プロフ) - ありがとうございます。楽しみにしてます(*^^) (2020年8月28日 1時) (レス) id: 68cb4525c6 (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - MAYUさん» MAYUさん!初コメント&リクエストありがとうございます!今書いていますのでもう少々お待ちいただけると嬉しいです! (2020年8月27日 23時) (レス) id: fd0b490cca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 志摩さんリクエスト。恋人夢主。志摩がお世話になってるからと紅茶のシフォンケーキを焼いて4機捜に差し入れしに行く話し。上司である桔梗にはゆたか君達と食べる用に別に用意。夢主のケーキに癒される志摩さんの話しお願いします。 (2020年8月25日 14時) (レス) id: 9070337cc8 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストです!ナイトプールで事件発生。404が現着。ヒロインに遭遇。水着ガン見。伊吹にぶちギレ志磨さん。伊吹に言わせたいのが、ヒロインちゃん、おっきいのね。ってな感じです。笑 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リトルバード | 作成日時:2020年8月5日 0時