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 8-4.言わないで ページ11

「…か、ずくんっ」


そう嗚咽しながら俺の名前を呼ぶ彼女があまりにもかわいそうで、痛々しくて。


「A…」


ああ、俺は何をやってたんだ、あんな奴の前に彼女に駆け寄るべきだったなんて、猛省しながら、彼女と目線を合わせるようにしゃがみこんだ。


そして、


「ごめん、間に合わなかった」


震える彼女を力いっぱい抱きしめた。


「…か、かず、くんっ」

「最低だ。警察官のくせにお前を危険な目に遭わせた」

「…いいのっ…ちがうのっ…」

「…え?」

首を振りながらそう答える彼女に、俺は驚いた。


「…かずくんがっ…来てくれただけでっ…いいのっ…」


泣きじゃくりながら必死に訴えるA。


「…もう大丈夫だ。何も怖くない。俺がいる」


右手で頭を、左手で背中を擦り、彼女が前やってくれたみたいに落ち着かせた。



「Aちゃんは?」

「寝てる。疲れたんだろうな」

警察車両にAを寝かせ、初動捜査中の伊吹に戻る。


すると、


「おい志摩」


陣馬さんがやって来た。


「はい」

「お前、今日はもう帰れ」

「え?いや、でも」

班長からの思わぬ提案に戸惑う。

「仕事の代わりは利くが、人の代わりは利かねぇぞ」

「そうだよ。Aちゃんのそばにいてあげなよ」

「…この埋め合わせは必ず」

そう言う班長と伊吹に頭を下げ、俺は彼女の眠る車へ。

「おう。お疲れ」

「Aちゃんによろしくね〜」

そんな言葉に振り返って、俺はまた頭を下げた。


「すみません、駅前までお願いします」


彼女のいる車の後部座席に乗り込み、運転担当の警察官にそう告げ、眠るAの手を握り窓の外を眺めた。

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設定タグ:MIU404 , 志摩一未 , 星野源   
作品ジャンル:恋愛
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結城(プロフ) - 伊吹さんの方からやってきましたがやっぱりため息でますー(//∇//)たまたま早起きして読んでいたのですがにやにやとため息でバッチリ目が覚めました!ありがとうございます^ ^ (2020年9月4日 5時) (レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
MAYU(プロフ) - ありがとうございます。楽しみにしてます(*^^) (2020年8月28日 1時) (レス) id: 68cb4525c6 (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - MAYUさん» MAYUさん!初コメント&リクエストありがとうございます!今書いていますのでもう少々お待ちいただけると嬉しいです! (2020年8月27日 23時) (レス) id: fd0b490cca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 志摩さんリクエスト。恋人夢主。志摩がお世話になってるからと紅茶のシフォンケーキを焼いて4機捜に差し入れしに行く話し。上司である桔梗にはゆたか君達と食べる用に別に用意。夢主のケーキに癒される志摩さんの話しお願いします。 (2020年8月25日 14時) (レス) id: 9070337cc8 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストです!ナイトプールで事件発生。404が現着。ヒロインに遭遇。水着ガン見。伊吹にぶちギレ志磨さん。伊吹に言わせたいのが、ヒロインちゃん、おっきいのね。ってな感じです。笑 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年8月5日 0時

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