. ページ6
痛みに耐えながら目を開けると、横には研二が私と同じように倒れ込んでいた
「…研二、」
名前を呼ぶ
…返事はない。
「やだ、研二、ねぇ、」
体をトントン、と叩くが反応はない
何で、爆発からは逃れたはずなのに…！
彼の口元に耳をやれば微かな呼吸音
「…っ」
彼は確かに生きていた
「萩原隊員！！！」
先程の機動隊員たちが戻ってきて私たちに気がついてくれた
「息はある！早く彼を運んで！！！」
彼らに研二を運んでもらい、私は1人で階段を降りる
足は捻ったようで少し痛むが、そんなことはどうでもよかった
マンションの外へ出ると、担架の上に寝ている研二と、その横で彼を苦しそうな表情で見つめている陣平が目に入った
「…陣平」
「お、お前…！」
陣平は私に駆け寄ってきて肩を思いっきり掴まれる
「馬鹿野郎！何かあったらどうすんだ！！！」
「…」
「お前がなんでこんなとこにいたかは知らねぇが…無茶なことすんじゃねえ！！」
「…ごめん」
言いたいことは沢山あった
彼を救えた安心から泣き出してしまいたかった
でも、私は公安の人間で、ここで目立つ訳にはいかなかった
「ごめん、仕事戻るね。あんま私のこと知られちゃいけない立場だから。」
「…A」
振り向けばいつの間にかサングラスを外していた陣平がこちらを見つめていた
「…無事でよかった。ありがとな、ハギのこと」
「…防護服のこと、ちゃんと説教しなきゃね」
そんな会話をしていると、横から声が聞こえてきた
「…A、ちゃん、じ、んぺーちゃん…」
「「ハギ/研二！」」
「…ごめん、俺…」
「大丈夫？！」
「うん…何とか…」
「ちゃんと病院行って診てもらって。いけそうだったら今夜また集まろう。私はもう行かなくちゃ」
「…あり、がと」
救急車に運び込まれた研二と一緒に付き添った陣平を見送って私はその場を後にした
彼らに背を向けて歩き出してから、私の涙は止まることなく溢れ続けた
救えた、んだよね。
とりあえずそろそろ戻らないとまずいので私は警察庁へと戻ることにした
零にもバレずになんとかその日の仕事を乗り越え、研二もあの時一時的に気を失っていただけで怪我も大きな傷も後遺症もなかった。
「良かった、本当に…っ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉優花(プロフ) - 彩豊さん» 沢山コメントありがとうございます！読み返してもらえて凄く嬉しいです…！応援、すごく励みになります！これからも楽しんでいただけるよう頑張りますね！ (2022年10月27日 23時) (
レス) id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは！萩原くんを助けられてよかったです✨組織潜入はドキドキしました(＞人＜;)凄く面白くて読み返しています(*≧∀≦*)応援してます☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2022年10月14日 11時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
茉優花(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます！嬉しいです…！そのお言葉がとても励みになっております！！これからもよろしくお願いします！( ¨̮ ) (2022年7月21日 20時) (レス) id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - とっても面白くて何回でも読んじゃいます！今では仕事帰りの楽しみです笑笑 (2022年7月21日 18時) (レス) @page50 id: cf5d2ac92c (このIDを非表示/違反報告)
茉優花(プロフ) - 皇さん» コメントありがとうございます！そんな事を言って頂けてとても嬉しいです…！原作リスペクトの気持ちを込めてなるべく近いように書かせて頂いております！救済してるので所々変わってしまう所はあるかと思いますがこれからも楽しんで頂けたら幸いです！( ¨̮ ) (2022年7月16日 10時) (レス) @page31 id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉優花 | 作成日時：2022年5月30日 4時
