Track：１３ ページ14
【松潤side】
「･･･何で俺」
いつにもまして超不機嫌なニノ。
「･･･Aを妊娠させたのはニノだろ」
「いや、俺じゃない」
「絶対にか？」
「ああ･･･Aは俺の欲求を処理してくれてるだけ。そもそも俺がAを妊娠させたら、大野さんに殺されるし･･･」
「まぁな･･･」
「･･･だけど、その大野さんが俺を殺しそうなんだよ」
「･･･お前がAに性処理係させてっからだよ」
「･･･いや、大野さんがAの正体を知らないからだよ。大野さんが――」
喋ってる途中で悲鳴が聞こえた。
「･･･A？」
ニノがドアを開けると室内にはAと――
「･･･え？」
血まみれの人が――
「･･･はい、ココア」
「･･･ありがとう」
Aが仕事をするのは決まって大野さんが仕事で不在のとき。
「･･･ココア飲んだら部屋に行きな。もう直ぐ大野さんが帰ってくるしさ」
「･･･うん」
ニノはAの扱いが上手い･･･。
「･･･」
そして事件が起きた。
「ふざけんな！！お前が妊娠させたんだろうが！！」
先の一件を仕事先で聞いたと思われる大野さんが１時間も早く帰ってきた。
そして大野さんはニノをフルボッコにした。
「ねぇ、松潤･･･って、ニノ？！」
ぐったりしているニノの元へ駆け寄ると脈拍を診た。
「･･･大丈夫、意識を失ってるだけ。松潤、車出して欲しいの。叔父様の病院に運ぶわ」
「あ、ああ･･･」
「皆は先に寝て。仕事あるでしょ？」
Aは基本的には怒らない。
温厚で優しい。
でも、そんな彼女でも怒るときがある。
「･･･」
ニノの処置が終わるまで廊下で待っている俺達。
だけど、Aと大野さんが２人だけで何かを話してる。
「･･･」
Aの怒声が聞こえないから、ヤバいな･･･。
パチーン！！
廊下にビンタの音が響いた。
「･･･ニノが起きたら、ちゃんと謝って」
それだけは聞こえた。Aが俺の所に来ると隣に座った。
「･･･手、大丈夫？」
「･･･ニノに比べたら平気よ」
「･･･」
大野さんの方を見ると俺達とは離れた椅子に座っていた。
「･･･A」
Aの叔父さんがニノの病室から出て来た。
「･･･あ、叔父様。ニノは？」
「大丈夫。詳しいこと話したいから、事務所の人に来るように言って」
「それは俺がします」
「･･･ん。そうだ、A。ジジイの件で」
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作者名：ありす | 作成日時：2021年10月17日 23時
