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【智side ３】
「――さん、大野さん！！」
翔ちゃんに名前を呼ばれていたことに気が付いた俺は顔を上げた。
「･･･ごめん、聞いてなかった。もう1回」
「ん･･･っ。彼女に聞いたら？」
「Aが言う訳ないだろ。アイツは俺には甘えないし何にも言わない。完全に拒絶してる･･･」
「･･･」
「もう寝るよ」と言うと飲みかけのウィスキーと氷が入った【さとし】と書かれたグラスを翔ちゃんに渡すと翔ちゃんは「お休み」と言った。
2階に上がるとAの部屋のドアが少し開いていた。
「･･･ニノに連絡は？」
「した。終わってから話したいって」
え？ニノは･･･病院でまだ目覚ましてないよ？
「しばらく、Aの仕事は俺がするから。Aは子供優先だよ」
「うん…」
一体、どういうこと･･･?Aの仕事って、彼女･･･17才だよ？
「･･･」
朝の7時だというのにAは誰かに電話をしていた。
そんな彼女の口調はいつにもまして丁寧口調だった。
「･･･はい、大野さん」
翔ちゃんは俺の目の前に目玉焼きとハムが乗ったトーストを置いた。
「ん･･･」
「翔ちゃ〜ん、俺には？？」
ニコッと笑う相葉ちゃんに対し翔ちゃんは「相葉君に作る義理ねぇーよ」なんて言いながら自分の分を持ってソファーに座った。
「ふぅ･･･」
よくわからない息遣いをすると俺は翔ちゃんが作ってくれた朝食を食べた。
二口目を食べようとしているとAがリビングに来た。
「松潤、運転して」
「はいよ」
Aは時々、MJを松潤と呼ぶ。普段は名字で呼ぶのにさ。
Aが松潤と呼ぶとMJは何も聞かず文句も言わずに「はいはい」と言う。
「･･･」
そんな日の夜だった。彼女は強制的に“じいさま”のところに連れて行かれた。
ニノとAの熱愛記事を捏造したことや学園のお金を着服だか横領したとかで･･･。
「それで？俺のバイト代は？」
「･･･出るわけねぇだろ？高給取りが何言ってんだよ」
「んじゃぁ、メロンパンで」
「ん〜･･･安上がり」
「ニヒッ」
そう言うと陽さんは――
「え？！」
「嘘でしょ？！」
「何で？！」
Aの兄貴だと思っていた人物は･･･ニノだった。
「･･･はぁ〜･･･。よ、久しぶり」
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作者名：ありす | 作成日時：2021年10月17日 23時
