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私は数日記憶を無くしていたせいでかなりの量の書類作成に追われていた。


『こんなの無理…』

「頑張れよ。明日は休みなんだからな」


はぁ、と溜息ばかり出てしまう。それでも奮い立たせて私はまた手を動かし始めた。
前回の騒動では首謀者の思惑は判らずじまいだったが、今回はハッキリ判っていた。【中也を自分のモノにするため】。まあ中也はモノじゃないんだけど。
そんなことを思う人が居るなんて。少し嫉妬した。中也の隣は私だけでいいもの。





『おーわった!』

「お疲れさん。やるよ」

『わ、ありがとう』


机に珈琲と共に置かれたのはチョコレヱト。包を開けて口の中に放り込む。仕事終わりの甘いものは正義だ。美味しい。
すると急にぎゅっと中也に抱きつかれた。


「はー、今回は心配だったんだぜ…?」

『それはすみませんでした。でも私は被害者だからね?』

「本当に良かったぜ。落ちつくなァ…」

『へへ、中也好き』


そう云って私は中也の方を向き、腕を回した。どうしてってくらい安心する。やっぱり中也のことが好き。この数日にいつも通り過ごせなかったぶん、明日はいっぱい中也と過ごす。私はそう決めていた。
中也は私の頬に手を添えた。


「ふふ、俺も好きだ」

『ず、るい…っ』


つい赤面してしまう。これは仕方ないよ…!
そっと目を逸らすと囁くように云われる。


「こっち見ろよ」

『っ、ちゅ、や…。ん』


触れるだけの接吻をした。壊れ物に触るみたいにまた手を添えられて。何だか恥ずかしくなって中也の胸に顔を埋めた。


『恥ずかしい…』

「ああもう、可愛いな」

『恥ずかしいって、ば…』


余裕な中也が狡い。少しだけその余裕を崩したい、なんてことを考えてしまう。明日何かやろうかな…。


「ほら、終わったなら帰ろうぜ」

『あ、うん』





話は飛んで寝台の中。
私と中也は久しぶりに一緒に寝ることになった。隣に中也の温もりがあることがとてつもなく幸せだ。つい甘えてしまう。


『こうして寝るのも久しぶりだね』

「あァ。毎日これでもいいんだぜ?」

『そ、れは心臓が持たないから一寸…』


こうして時々(とはいってもほぼ毎日)一緒に寝ている今でもまだ心臓の鼓動は早くなっている。こんな時でもきっと中也は余裕なんだろうな、ってつい思う。


「おやすみ」

『うん、おやすみ』


​───────​───────
久しぶりにいちゃいちゃさせました!

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作者名:九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす) | 作成日時:2018年11月12日 20時

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