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中華街を歩いた時に途中で買った肉まんを食べていた。熱いけど美味しい。横浜凄い。


『ん、美味しいねえ』

「ほんと美味いな」

『天気良いね』

「晴天だなァ」


こんな晴天の下、裏社会で人を殺めるマフィアがほのぼのとデェトしてるなんて笑ってしまいそうな話だ。そんな事を考えるなんて、私も夜の人間になったのだと感じる。まァ、そこから抜け出す気なんてさらさら無いのだけど。


『ねェ、行きたい所があと一つあるんだけどいい?』

「構わねェよ」

『ありがとう』


ずっと横浜で行きたかった場所がある。夜の方が良いかと思ったけど、どの世界の横浜も綺麗なことに変わりは無い。そう思ってこの機会に中也と行きたいッて考えた。


「で、その行きたい場所って何処なんだ?」

『観覧車』

「観覧車、か?」

『うん。中也と行ってみたかったの』


自然と笑顔になって中也を見る。驚いた様な顔をしている中也がそこに居た。何で観覧車何だろうな。自分でも判らなくなってきそう。


「判った」

『ありがとう!』


ふふ、と微笑む中也に見蕩れてしまう。本当に中也は格好良い。誰だって惚れてしまいそう、と考えたけど、誰が惚れたって中也は渡さない。中也の隣は私だけ。他の誰にも渡しはしない。





「よし、行くか」

『うん。…おお、でっかい』

「間近で見ると本当にでけぇな」


遠くからでも充分大きかったのに、近くから見ると更に大きくなって見える。何だか人間って凄いなあなんて考えてしまう。
そのうち順番が来て、私と中也は観覧車に乗った。


『凄い…。思ってたより高い!』

「横浜が良く見えるなァ」

『やっぱりマフィアのビルは目立つね』

「本当だな。判りやすい」


中也の隣から外を眺める。こんな風に横浜を眺めてみるのも良いものだ。
途中から中也と二人きりっていうことに当たり前だけど気付いてしまって、ドキドキする。


「何考えてんだ?A」

『んな、何も…!』

「へぇ?」

『うぅ…。中也と二人きりで、その…ドキドキするな、って』

「はぁ。可愛い奴だな」

『え…!?ん…!』


そんな事ない、と云い返したかったのにすぐに中也との距離がゼロになって、唇が重なる。触れるだけの接吻もいつも以上にドキドキした。


「ん…」

『…っん、ぁ…』


気付いたら腰に手が回されて逃げられなくなる。触れるだけの接吻も、だんだん深くなる。

世界の中で二人だけの時間を、永遠に。

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作者名:九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす) | 作成日時:2018年11月12日 20時

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