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「しかしAちゃんが無事でよかったよ」

『私だけじゃないでしょう。そろそろデレたら?』

「むー…。芥川くんも、良かったよ」

「太宰さん…!」

「おい太宰手前Aにいつまで抱き着いてんだ阿呆!」

「えー、離れたくなあい」

『離れて下さいな』


えー、と云いながら渋々私から離れてくれた。長く抱き着かれいてたせいで違和感がある。すると次は中也が抱き締めてきた。


「本当に良かった」

『ありがと。もう中也から離れたくない』

「えー中也だけ狡いよ!」


現ポートマフィア組の筈なのに、何故か太宰が居ることに違和感はない。でも、前職がマフィアなら仕方ないか。


「さて、それじゃあ私は戻らないと国木田君が五月蝿いから」

『国木田さんはただただ正論なだけじゃ…』

「じゃあね!」

「無理矢理行きやがった…」

「太宰さん…僕は貴方に認めて貰える迄諦めません」

「先輩、帰りましょう」


【いつも通り】が帰ってきた瞬間だった。





「Aちゃーん!無事でよかったよ!」

「A…!心配したのじゃぞ」

『首領、姐さん、心配かけてすみませんでした』

「無事なら良いのじゃ」


首領に報告をしに最上階の執務室に来た途端にこの状況。私はどれだけ溺愛されているのだろうか。…嬉しいな。


『また会えて良かったです』

「もう会えないかと私は思ったよ…。中也君、今回は本当にありがとう」

「いえ。仕事ですし、俺としても困りましたから」

「良くやったな。今度茶会でも開こう」


これ、本当にポートマフィア?なんて疑う程にほのぼのした会話。
姐さんは口元を着物で覆い、上品に笑う。


「疲れているだろう?明日は二人とも一日休暇で良いよ」

『ありがとうございます』

「ありがとうございます」

「じゃあ、気をつけてね」

「失礼しました」

『失礼しました』


報告という名の雑談をして、二人で執務室を出た。


『ふぁ…。眠い…。流石に深夜二時は辛い』

「帰ったら早く風呂入って寝ようぜ。一緒に、な」

『うん…!』


一緒に中也の寝台で寝る約束をして、帰路につく。
平和で血に塗れた、二人の日常は無事に戻った。

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作者名:九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす) | 作成日時:2018年11月12日 20時

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