【stpr】愛する妹が彼氏を連れてきた【桃】【青】

19話【あぁ、待ってっ…！】 ページ20

仕方ない、最大限バレないようにしよう




俺も男の子の乗っていた青色のコーヒーカップに乗る




背後からはAとヤギ野郎の楽しそうな声が聞こえてくる




ヤギ野郎、コーヒーカップ乗ると酔いやすいのにAのために乗ってやってるのか…




良い奴…なんかじゃねぇ!!!Aが望むなら火の中水の中なんてことないわ…!!!




男の子「お兄ちゃん、これ僕が回してもいい？」




『えっ？あぁ、良いよ』




男の子は真ん中の回転するテーブルを両手で掴んで、ワクワクとした表情を見せる




コーヒーカップの外では、あのお母さんが微笑みながら見守っている




大体の人数が集まると、入場口の扉が閉まりアナウンスが流れた




そしてブザーのような音と同時に、ゆっくりとコーヒーカップが回り始めた




さぁ、ここからだ…！俺はA達にバレないようにAの様子を探ろう…！




ゆっくりと回転するコーヒーカップからチラチラとA達の方を見る




するとそこには満面の笑みでテーブルを回転させるAと、「ギブ！ギブ〜!!」と叫ぶヤギ野郎がいた




すごく、仲良さそうに…楽しそうに…




Aが笑ってる、俺の大好きな笑顔をアイツの前ではあんなに溢れさせて…




ムカつくのに、心が安心する…




ボーッとA達を眺めていると、急に視界の回転が早くなる




『っ!?ちょっと…!?』




視線を前に向けると、さっきまでゆっくり回していた男の子がガンガンテーブルを回していた




そのおかげで俺たちの乗るコーヒーカップは、一番のスピードを出して暴れるように回る




ちょっと待って、ちょっと待って!!!




吐く吐く吐く!!!普通に吐いちゃう!!!




視界が気持ち悪い、風の当たり方も、回転して内蔵が置いていかれる感覚も全て気持ち悪い！




『ちょっと…ボク…！は、激しすぎ…』




男の子「わはぁ〜!!!楽しい〜!!!」




ダメだぁ…聞こえてねぇ…




まじで込み上げてきた、身体中掻き回されてるような感覚だ




お願いもう終わって！




助けてぇっ…!!!




プシューとコーヒーカップの速度がゆっくりと落ちていく、やっと終わった




乗っていた人達がぞろぞろと降りていく中、俺はコーヒーカップの縁にもたれかかって呼吸を整えていた




ふと顔を上げると、満足そうなAがフラフラと歩くヤギ野郎を支えながらコーヒーカップを去っていくのが見える




A…まだ行かないで、やっと見つけたのに…また見失うっ…！

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