5 ar ページ5
.
だから別にどんな返事でも良かった。
求めている答えもなかった。
こいつにどう思われていようと、俺には関係なかった。
けれど、
「おもいません。」
君の力強い即答に、今度は俺が目を見開いて固まってしまう番だった。
「俺、自分はからっぽだから。どんな生き方でも、前を向いて頑張っている人、夢を持っている人は皆かっこいいと思います。どんなお仕事にも、意味があります。こういうお仕事は偏見持たれることも多いかもしれないけど、俺はそういうことはあまり思わないです。」
驚いたことその1、彼が意外にも芯のある声を出したこと
その2、彼が意外にも長文を喋ったこと
その3…、彼の目は、やっぱり凄く綺麗だったこと
「それに……、ってごめんなさい。俺どんな目線で物言ってるんだって感じですよね」
俺が止まったまま何も言わなかったからか、彼は自嘲的に笑うとまた下を俯いてしまう。
こいつ、どんだけ自分に自信がないんだ。
ここまでの人は初めて見た気がして、段々と面白くなってきてしまった。
「ぷ、…はははっ」
せっかく良い事を言ってくれたんだ笑ってはいけないと思ったけれども、つい抑えられず噴出してしまう。
それを聞いた彼はぴくりと身体を揺らした。
「はは…ごめん!怒ったとかそういうのじゃなくて、そんなに喋れるんだって驚いちゃった!」
「……俺だって、人間です。喋れますよこれくらい」
俺を睨み付ける様な真似をする彼の声は少しむっとしているように感じて、初めてこいつの感情というものが見れたと、何故か少し感動をしてしまう。
「あ、そういえば名前は?なんていうの?」
「…伊野尾です、」
そう名乗った君の声はまだむくれているから、意外と子供っぽいところもあるらしい。
「ふーん、じゃ、いのちゃんね」
「い、いのちゃ!?」
そんなあだ名を付けてくるやつが今までいなかったのかわからないけれど、いのちゃんが先程とはイメージの違う大きな声を出したので、俺はその反応が楽しくてまたケラケラ笑う。
「ねーえ、いのちゃん」
未だ込み上げる笑いが止まらない中、俺は彼の顔を覗き込むようにして見る。
気に入った。
面白い奴だと思った。
いろんな理由をこじつけたけど、今考えればこの時の俺は、既に君が持つダイヤの原石に魅了されていたのかもしれない。
その前髪に隠された美しい瞳が、何よりもの証拠。
「あんたさ、ここで働きなよ」
.
741人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんこ(プロフ) - 灯火さん» ご感想ありがとうございます( ;∀;)そう言って頂けるとすごく嬉しいです...!私がそのお言葉に感動します(笑)2人を幸せにできてよかったです!!応援ありがとうございました!また次の作品もお暇な時に読んでやってくださいませ! (2018年5月7日 8時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
灯火(プロフ) - 最後にはなりますが、完結おめでとうございました!次も楽しく読ませていただきます!(上から目線っぽくてすみません(汗) (2018年5月7日 0時) (レス) id: 8bf5c2ea68 (このIDを非表示/違反報告)
灯火(プロフ) - こういうお話ほんっっとに大好きです!文の書き方とかそれぞれの気持ちが全部伝わってきました…!もう感動以外の言葉が見つかりません…ラスト号泣でした………。こんなに入り込んで読んだの初めてかもしれないってくらいでした! (2018年5月7日 0時) (レス) id: 8bf5c2ea68 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - ユリアさん» ユリアさーん!嬉しい!!本当ありがとうございます( ノД`)私がそのお言葉に感動してしまいました……(笑)恐れ多いですほんと……。また、次の作品もお付き合い頂けると幸いです!よろしくお願いします! (2018年5月3日 1時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ユリア - これからも頑張って下さい!応援してます!!あと、長々とすいませんでした...。 (2018年5月3日 0時) (レス) id: c6e7ebbbc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あんこ | 作成日時:2018年3月22日 16時