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山田の家に着くと、当たり前だけど静かで真っ暗な部屋。
俺一人が山田の家に帰ってくるなんて違和感しかなくて、広いリビングではそわそわする気持ちを落ち着かせる事が出来ず、足が向かったのは昨日連れ込まれた寝室だった。


「はぁ……」


ぼふんとベッドにうつ伏せでダイブすると緊張が解けたのか謎の疲れに襲われる。
昨日からずっと山田と一緒だったなんて夢の時間を振り返っていれば、無性に今の時間が寂しく感じてしまい、被るようにして布団に包まった。

身体を包む、山田の匂いと布団の温もり。
俺はそのまま本能に抗うことなく瞳を閉じてしまった。









玄関の扉が軋みながら開く音がして目が覚める。
今が何時だかわからないが、多分山田が帰ってきたのだろうと思いながらも寝起きの頭は回らない。
耳だけを澄ましていると、電気を頼りに来たのだろうか、足音は近くで止まり、俺が包まっていた布団が何かを確かめるようにゆっくりと捲られた。



「さ、起きて。うちの眠り姫さん」



眩しさに目を開ければ ちゅっとキスを落とされて、寝起きで油断している俺の唇を押し割るようにいきなり彼の舌が侵入してくる。
驚き引っ込めた舌も簡単に彼に発見されてしまい、気づけばすぐに深く絡み取られた。


「っ、は……んむ……」


腕を引き寄せ抱き締められた時、昼間は感じられなかった誰のものかわからない甘ったるい香水の匂いに包まれて、嗚呼山田は何をしてきたのかなぁなんて頭で考えたけど。
次の瞬間、キスをしたまま山田の手が俺の服にかかるのがわかって、気が紛れた。

幸せな気持ちと苦しい気持ち、
全てがぐちゃぐちゃになって混ざり合う。



そして、山田の全てを知りたいと思った俺は、結局素直に彼を受け入れてしまった。









「っ、ねえ、誰の事が好きなの…」


「やま、やまだ…が、好きぃ…っ」




行為中、突然の彼の言葉。


熱におかされながも必死にその言葉を伝えると、満足そうに山田が微笑む。
そして「よくできました」と言って、俺の額にキスを落とした。



初めて身体を重ねて、焼け落ちてしまいそうな程熱くなる胸。



俺は、やっぱり山田が大好きだということ
俺を抱く山田がとても優しかったこと
男と付き合う事に平気だった彼を見て薄々感じてはいたけれど、山田が男を抱くことは、きっと初めてではないということ



いろいろな感情が俺の心をいっぱいにした。









でも、俺はやっぱり、山田の事を何も知らない。








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あんこ(プロフ) - なっちさん» なっちさんコメントありがとうございます!すごく、そう言って頂けると私も胸がきゅってなります嬉しいです(´;ω;`)少し悲しいお話ですが、きっと2人にとって大切な時間だったと思います...。 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 胸がぎゅっと痛くなりました。涙が出ます(泣) (2018年12月30日 2時) (レス) id: a01bbaa610 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - kei622kazumi121さん» ご感想ありがとうございます(´;ω;`)悲恋ですが、この山田さんと伊野尾さんは自分の決断に悔いなく前を向いて進んでいくかと思います……!今のところ続きは皆様の脳内におまかせするつもりですが、何かきっかけがあれば是非〜! (2018年2月2日 13時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
kei622kazumi121(プロフ) - 完結お疲れ様です。この作品を読んですごく泣いてしまいました。やまいのはベタベタ系をたくさん読んでいたのでこの結末は予想していませんでした。悲恋は泣けます……このお話の続編があればうれしいです。…… (2018年2月1日 23時) (レス) id: 04bc14a5ea (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - りこさん» りこさんはじめまして!コメントありがとうございます〜!そしてご感想まで(´;ω;`)そう言っていだだけると凄く嬉しいです!全く違うように見えるけどどこか似ている、そんなやまいのでした。他の作品でも引き続き応援頂けますと嬉しいです! (2018年1月26日 9時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんこ | 作成日時:2017年12月19日 14時

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