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24 ym ページ24

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「……やっぱり、俺には、わからない」




いろんな感情が混ざり合ったぐしゃぐしゃの頭で、俺はそう呟いた。
それを聞いた伊野尾ちゃんは目を伏せるようにして苦笑すると、ゆっくりと諭すように俺に話しかける。




「……人を好きになるって、こういうことだよ。山田は人を本当に好きになった事がないんだね」




可哀想、
そう言われて、ついカッと頭に熱が集まるのがわかった。





「っ……!!なんで伊野尾ちゃんにそんな事言われなきゃいけないわけ!?」





反射的にソファから立ち上がった拍子にテーブルが揺れ、上のマグカップが倒れた。
テーブルに広がってゆく黒い液体は、きっとシミになって、俺の心の淀みのように染み付いて取れないだろう。




「だってそうでしょう!?」



つい声を荒らげてしまったが、それに対して伊野尾ちゃんも覆い被せるように反論をしてくる。

伊野尾ちゃんに、一体俺の何がわかるっていうんだ。
恋愛なんて嘘ばっかりだ。幸せなんて、その先にある訳がない。

そんなことを思っていたら意外とその言葉が声に出てしまっていたようで伊野尾ちゃんが言葉を続ける。






「俺となんて言わない。だけど、俺は山田に幸せになって欲しい」



「黙れよ!俺が伊野尾ちゃんと付き合って、それが真剣じゃなかったから、結局はそれを責めたいんでしょ!?だったら、最初から咎めろよ!怒れよ!!そんな正義ぶった発言なんていらない!!」



「違う!本当に思ってる!!!」






大きな声と共に、いきなり彼のその瞳からぶわっと勢いよく大粒の涙が溢れた。






「好きな奴のこと心配して何が悪いんだよ!!好きだから、俺は山田のことが好きだから、今の山田を見ると胸が苦しい。それに、こっちだってすぐ嫌いになれるほど中途半端な気持ちでお前の事を好きなわけじゃねえんだよ。なれたら、いっそ、どんなに楽なことか……わかるかよお前に……、っ」






ずるずると、伊野尾ちゃんはソファに力無く座り込むと、そのまま手の甲で涙を何度も拭いている。







「伊野尾ちゃん……」





その姿に胸が苦しくなって、この胸のざわつき理由がもう少しで知れそうで、無意識に伊野尾ちゃんへ手を伸ばした。









「……もう、今日は帰って」




だけどその手が彼に届く前に伊野尾ちゃんはそう言うと静かに首を左右に振り、決して顔をあげようとはしなかったので、俺は静かにその腕を下ろすと小さく頷くことしか出来なかった。




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あんこ(プロフ) - なっちさん» なっちさんコメントありがとうございます!すごく、そう言って頂けると私も胸がきゅってなります嬉しいです(´;ω;`)少し悲しいお話ですが、きっと2人にとって大切な時間だったと思います...。 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 胸がぎゅっと痛くなりました。涙が出ます(泣) (2018年12月30日 2時) (レス) id: a01bbaa610 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - kei622kazumi121さん» ご感想ありがとうございます(´;ω;`)悲恋ですが、この山田さんと伊野尾さんは自分の決断に悔いなく前を向いて進んでいくかと思います……!今のところ続きは皆様の脳内におまかせするつもりですが、何かきっかけがあれば是非〜! (2018年2月2日 13時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
kei622kazumi121(プロフ) - 完結お疲れ様です。この作品を読んですごく泣いてしまいました。やまいのはベタベタ系をたくさん読んでいたのでこの結末は予想していませんでした。悲恋は泣けます……このお話の続編があればうれしいです。…… (2018年2月1日 23時) (レス) id: 04bc14a5ea (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - りこさん» りこさんはじめまして!コメントありがとうございます〜!そしてご感想まで(´;ω;`)そう言っていだだけると凄く嬉しいです!全く違うように見えるけどどこか似ている、そんなやまいのでした。他の作品でも引き続き応援頂けますと嬉しいです! (2018年1月26日 9時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんこ | 作成日時:2017年12月19日 14時

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