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23 ym ページ23

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「他人の心がわかる力があったらいいのにね」


何も考えずに衝動的に来てしまったものだから、伊野尾ちゃんと何を話せばいいのかわからない。
平静を装って頭をぐるぐるさせていたら、つい、この言葉が出た。
俺にとっては弱音に近い言葉。
こんな事、人に言ったのは初めてで、俺自身も驚いてしまう。

だけどそれを聞いた伊野尾ちゃんは、同意する訳でも否定する訳でもなく、手に持っていたマグカップをテーブルへ置くと、俺の事を好きになった時の回想を突然語り始めた。





「JUMPが辛い時期も、山田は1人で引っ張ってってくれて。いつも忙しいはずなのに、苦しい顔も見せずみんなに声をかけてくれて。山田はずっと、俺よりもずっと前で輝いてた」




伊野尾ちゃんはあの日の情景を思い出すかのように、瞳を閉じて、ゆっくりと話す。




「3年前くらいから、それが憧れから恋に変わったんだ」

「きっかけは?」



気になって、つい質問をしてしまう。
すると伊野尾ちゃんは少し驚いたようにゆっくり目を開くと、少し苦笑気味に「わからない。気づいたら、自然に、ああ俺はこの人が好きなんだって思ったよ」と優しい声で呟いた。





「俺はね、山田のことを好きになって、毎日が楽しかった。今日山田どんな服着てるかな、今日山田から話しかけてもらえるかな、今日山田にこの話したらどんな反応してくれるかな……って、馬鹿みたいでしょ?」





当時を思い出しているのだろうか、伊野尾ちゃんの頬はほんのり赤く染まって少しハニカムように笑った。
暫く見れていなかった伊野尾ちゃんの笑顔に、何故だか酷くホッと安堵している自分がいて、また少し驚く。




「でも、山田のおかげでそんなワクワクな毎日が過ごせたんだ」




おかげ、なんて俺は何もしていない。
それどころか、現に君を傷付ける真似までした。
伊野尾ちゃんは何故、俺の前で笑っていられるのだろう。





「俺はね、山田のことを好きになれて良かったって誇りを持ってた。だから、別に付き合えなくてもいいから、山田に俺の気持ちだけでも知っといてもらいたいなって思って、あの日告白したんだ。へへ、今思うと迷惑だよね。」





そんな意味の告白だったとは全く知らなかった。
伊野尾ちゃんは、俺にただ気持ちを伝えたかっただけだという。

叶う可能性が少ないと思いながらも人に思いを告げる意味などあるのだろうか。
伊野尾ちゃんは拒絶されることを怖くはなかったのだろうか。


胸が、痛い、



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あんこ(プロフ) - なっちさん» なっちさんコメントありがとうございます!すごく、そう言って頂けると私も胸がきゅってなります嬉しいです(´;ω;`)少し悲しいお話ですが、きっと2人にとって大切な時間だったと思います...。 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 胸がぎゅっと痛くなりました。涙が出ます(泣) (2018年12月30日 2時) (レス) id: a01bbaa610 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - kei622kazumi121さん» ご感想ありがとうございます(´;ω;`)悲恋ですが、この山田さんと伊野尾さんは自分の決断に悔いなく前を向いて進んでいくかと思います……!今のところ続きは皆様の脳内におまかせするつもりですが、何かきっかけがあれば是非〜! (2018年2月2日 13時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
kei622kazumi121(プロフ) - 完結お疲れ様です。この作品を読んですごく泣いてしまいました。やまいのはベタベタ系をたくさん読んでいたのでこの結末は予想していませんでした。悲恋は泣けます……このお話の続編があればうれしいです。…… (2018年2月1日 23時) (レス) id: 04bc14a5ea (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - りこさん» りこさんはじめまして!コメントありがとうございます〜!そしてご感想まで(´;ω;`)そう言っていだだけると凄く嬉しいです!全く違うように見えるけどどこか似ている、そんなやまいのでした。他の作品でも引き続き応援頂けますと嬉しいです! (2018年1月26日 9時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんこ | 作成日時:2017年12月19日 14時

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