愛のカタチ ymin/ytin

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それから彼は頻繁に俺の家に脚を運ぶようになった。





「今日、行っていい？」


最初に声をかけられた時はさすがに驚いた。
彼の意図を探るが全くわからず、その日もむしゃくしゃする気持ちを当てるように彼を滅茶苦茶にした。


それなのに数日後、彼はまた俺の家にまたやってきたのだ。









いのちゃんは、俺に同情をしてくれているのか、
可哀想な奴だと一緒にいてくれるのか、
そう考えると苛つきを覚えて彼の腕を強く掴む。



(泣けよ、俺が怖いって、俺を、蔑んでよ、)



そう思ってギリギリと骨が軋むまで握り締めても彼は「痛い」と訴えることは無かった。
そんな時でさえいのちゃんは俺を包み込むような優しい目線で俺を見る。
時には恐怖心を煽りたくて、彼を縛り上げる事もあった。
慣れていない入口に、わざと自身を埋め込むこともあった。






それでも、彼は俺を絶望したような目で見てくれる事はなくなった。









「ゆうと」






二度目の夜辺りから、行為の最後、必ず君は俺の名前を呼ぶとこちらに腕を伸ばす。

こんな事が続き、いのちゃんを手に入れた事には変わりないのに俺の頭はぐちゃぐちゃになっていた。
きっと、酷い顔をしているから。
君に隠すようにその腕の中に入り、首元に顔を埋める。





満足しているはずなのに、モヤモヤする。





いや、理由なんて、わかっていた。




いのちゃんの恐怖を俺が支配していた満足感。

だけど、彼に受け入れられる事で一気にそれは惨めになった。




今まで、俺は彼と付き合いたいと言う思いや自分を好きになって欲しいという思いは一度も抱いた事は無かった。
まあ、現実有り得ないと考えていたからだけど。






ただ、もう少し、

自分を特別に扱ってほしいという独占欲。






ほんの一瞬でもいいから全身で自分を意識して欲しかった。




それだけで良かった。






なのに、俺が当事者の癖して変な話だが、今のいのちゃんの状況を冷静に見遣れば、こんな相手に溺れる可哀想な奴だとしか思えない。



自分をレ イプし、脅した相手に

なんで笑っていられる？
なんで受け入れられる？
なんで、俺のところにくる？









きっと、自分がいのちゃんを変えてしまったのだ。









途端に打ち拉ぐ気持ち。

俺はずっと好きだったいのちゃんの姿を脳裏に浮かべ、思い出すように静かに瞳を閉じた。





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