愛のカタチ ymin/ytin

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雨の日佇む君を不意に見つけた。
だけどその姿は今にも消えてしまいそうで、俺は何やってんだよ馬鹿と焦る気持ちで彼に声をかける。



「いのちゃん？」



振り向いた君は、涙は出てないものの、今すぐに泣いてしまいそうな顔をしていて。

嗚呼、彼に今この顔をさせているのはきっと、







「ほら、こんな所にいないで、いくよ！？」






散々傷つけておいて何を言ってるんだと思うが、そんな彼が心配で腕を引いて歩き始める。
そんな俺を見て君がふにゃりと笑った。
久しぶりに俺へ向けられる笑顔。
大好きだったいのちゃんの笑顔に酷く心が痛んだと同時に、苛立ちを覚える。





俺の家に着いてから伊野尾ちゃんを風呂に押し込むこと数分。
ガラリと風呂のドアが開かれる音がしたので、俺はそれを合図に彼の所に向かう。
なんとなく誰が原因かはわかっていたけれど、何であんなことをしてたのか建前も含めて問い正せば、君も覚悟はしていたようで気まずそうに目を泳がせた。






「もうこの数ヶ月で俺の心はズタズタだよ。……良かったね、裕翔。裕翔は傷付いてる俺を見るのが好きなんでしょ？思い通りになったよ」





俺が聞きたかった事とは違う言葉が返ってくる。
俺の思い通り？……どこが？
寧ろ思い通りにならない君に更にもどかしさを煽られているというのに。

「わかってない」と感情的に彼を詰めよれば、今日はしっかりと俺を見つめてくる。
彼が俺をその瞳で受け止めてくれるのはいつぶりだろうか。






「……じゃあ、もっと、酷くしてよ」







ぷつり、



理性の切れる音がした。
そこからの事は正直あまり覚えていない。









目を覚ますと、横には既に起き上がって身体を丸める小さな背中が見えた。
実際は小さくないんだけど、彼の背中はやけにちっぽけに映る。
だけど、起きた時に彼の姿があって、少し安心する自分がいた。







「……いのちゃんはさ、俺のこと怖い？」







君は少し間をあけて、怖いと答える。




良かった。




その言葉で俺は彼の中で特別になれた事を実感する。

彼の中で、俺はきっと大きな存在になれた。





今、いのちゃんの心の中は俺でいっぱい？





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